【怖い話】自白
「私が彼女を殺しました。首を絞めて。凶器として使ったのは洗濯紐です」
凶器として洗濯紐が使われたことは報道されていない事実だ。
今まさに、目の前の人物の口から、犯人しか知らない情報が出た。
普通なら、これで逮捕できる。
だけど、今回ばかりはどう処理すべきなのか、
皆目わたしにも検討がつかなかった。
私の目の前にあるのは1時間前にマンション屋上から飛び降りた容疑者の遺体だ。
検視官が死亡を確認して、今は警察署の遺体安置室に横たわっている。
自供は、その遺体の口から発せられたのだ。
この事実をどう受け止めるべきか。
実行した犯人は、この身体の持ち主に間違いはないのだろうが、本当に彼の意思だったのか。
彼はもしかしたら、"何か"に取り憑かれていたのではないか。
そんなことを考えさせられた。
刑事をやっていると、説明のつかない奇妙な出来事によく遭遇する。
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