【怪談】皇居外周の怖い話
私は、よく皇居の外周でランニングしています。
来年で40を迎えるので、体力維持のためにも毎週一回は走るようにしているのです。
けど、ある時、恐ろしい体験をしてしまいました。
いつものようにipodで音楽を聴きながら走っていると、お堀の前に立つ黒い服を着た女性に気がつきました。
何をするわけでもなくジーッと立っていたので、逆に気になってしまいました。
追い抜いた後、チラリと振り返りましたが、女性は変わらずジッと立っていました。
「変な人・・・」その時はそう感じただけでした。
だいたい半周くらいして、
いい感じに汗をかいてきました。
ふと道の先を見て、ギョッとしました。
先ほど追い抜いたはずの黒い服の女性が、また立っていたのです。
ありえない話でした。
追い抜かれた記憶もなければ、タクシーでも使わない限り私の先にいられるわけがないのです。
しかも、変わらず、何をするでもなくジーッと立って地面を見つめています。
ゾゾと寒気が背筋を走りました。
得体の知れないものと遭遇したような感覚でした。
私は少し走るペースを上げて、女性の横を通り過ぎました。
しばらくして後ろを振り返ると、やはりジーッと立っています。
なんなんだろう・・・。
前を向き直って、声を上げそうになりました。
前方に、また同じ女性が立っていたのです。
えっ?と思って後ろを見たら、女性の姿はありませんでした。
まるで瞬間移動したかのように、私の後ろから、いきなり前へ現れたのです。
驚いて立ち止まりました。
今度、あの女の人を追い抜いたら、
何か恐ろしいことが起きるのではないか。
そんな感覚がありました。
私はその場でタクシーを止めて、
神田にある自宅に帰りました。
女性の方は見ないように見ないようにしました。
一体なんだったんだろう・・・。
そんなことを考えながら、
自宅の鍵を開けて、玄関を開けた瞬間、
私は悲鳴を上げました。
玄関を上がった廊下に皇居外周で見かけた黒い服の女性が立っていたのです。
私は尻餅をつき、
歯をガタガタ鳴らすしかできませんでした。
女性はニタニタと笑いながら、
スーッと消えていきました。
後で知ったことですが、
皇居の周りは、怪奇現象が多いのだそうです。
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