美容院の怖い話!髪に執着する美容師の隠された正体 #211

 

これは、先日、通っている美容院で髪を切っている時に聞いた怖い話です。
私はいつも店長さんにカットしてもらっていました。
30代で俳優のようなイケメン。
話もおもしろく、言葉は悪いですが、ちょっとしたホスト遊びにきているような感覚でした。
その日、どういう会話の流れでそうなったのか忘れてしまいましたが、怖い話が話題にのぼりました。
カットしてもらっていながら、ママ友が体験した心霊現象を店長さんに話し終えると、店長さんが「実は美容院も、怖い話がけっこう多いんですよ・・・」と続けました。

「ある男性美容師の話なんですけど、やっぱり、こういう職業をしていると女性の髪に対してこだわりというか執着を持つものなんですよね。
僕だって多少はそうです。いわゆる髪フェチっていうんですかね。
ま、それくらいならいいんですけど、中には行き過ぎた執着心を持ってしまう人もいて。
・・・その美容師は若い時から誰よりも自分の技術を磨くことに熱心で、周りもそんな彼を認めていました。
彼は、とことんつきとめていくタイプだったので、技術だけでなく、女性の髪の研究にも没頭していました。
ところが、知識が深まった反動なんでしょうかね。
次第に彼は女性の髪に並々ならぬこだわりを持つようになっていき、自分の理想の髪を探し求めるようになりました。
お店にお客として訪れる女性客の髪を毎日毎日チェックしては、自分が探している理想の髪はこれじゃないとため息をつく日々・・・
ですが、ある日、彼はとうとう理想の髪を見つけます。
閉店間際、予約なく飛び込みで来た新規のお客さんでした。
水商売でもしてるのか肌は荒れ放題で、顔だってお世辞にもキレイとはいえない。
けど、その女性の髪は彼が夢見ていたとおりだったのです。
彼は、喜びにうち震えながら、その女性客の髪をカットしました。
しかし、カットが終わりに向かうにつれて、彼は思ったそうです。
この髪を自分のものだけにしたい、と。
そう思って彼はどうしたと思いますか?
周りを見渡せば、他の従業員は帰って自分一人。
彼は、何の迷いもなく、いきなり、その女性客の首にはさみを突き刺し、そのまま首をスパッと切り落としたそうです。
そして、生首を自宅に持ち帰り、大事に飾って、髪が伸びたらきれいにカットしてあげていたそうです。
けど、人間の身体は腐ります。
骨だけになって、髪も伸びなくなると、新しい首が必要になりました。
幸い彼は実力者だったのでお金だけはありました。
新しい町にお店を構えて、また理想の髪を探し、それがダメになったら、また新しい町へ。
今でも、それを繰り返しているそうですよ・・・。
というお話です。まぁ、誰かが作った作り話でしょうけどね」

・・・私はごくりと唾を飲み込んだ。
店長さんの目が怪しく光った気がしたのは錯覚だろうか。
ハサミが照明に反射して鈍い光を放っている。
見渡せば他にお客さんは誰もおらず、店長さんと2人きりだった。
「はい、できました。いかがですか?」
そう言った店長さんの顔は元どおりの柔和な笑顔だった・・・。

それから間もなく、そのお店は唐突に閉店してしまった。
かなり繁盛していた様子だったのにもかかわらず。
同じ時期、その美容院に通っていたママ友の一人が、家出をして連絡がつかなくなったのは単なる偶然なのだろうか・・・それは今でもわからない。

家の近所に、新しい美容院がオープンしたら、くれぐれも用心して欲しい・・・。

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