首里城の怖い話

これは、修学旅行で行った沖縄でボクが体験した怖い話です。
1日目の午後は首里城見学でした。
首里城は、琉球王家が居城として使っていた城跡で、那覇市街と海を見渡せる小高い丘の上に建っています。

班ごとに自由に場内を見学していのですが、正殿を見終わったあたりから、クラスメイトのOくんの様子がおかしいことに気づきました。
「暑い暑い。喉が渇いた喉が渇いた」といってしきりに水分補給するのです。
もちろん沖縄は本土よりも暖かいので、暑いと感じるのが当たり前ですが、Oくんの暑がりようは他のクラスメイトと比べても異様でした。
尋常じゃない量の汗をかき、数本目のペットボトルの水を空にしても一向に暑さがおさまらないようでした。
顔も真っ赤でしたし、もしかしたら熱中症かもしれないと、ひとまず日陰を探して、屋根の下にボクたちは避難しました。
少し休むと、Oくんの顔色もよくなって、症状が緩和したみたいで、ボクたちは安心しました。

ところが、その日の夜中の出来事です。
ホテルの部屋で眠っていると、騒ぎに目が覚めました。
廊下を走るバタバタという足音が聞こえました。
なんだろうと思って、同室の友達と一緒に廊下に顔を出してみました。
すると、先生達が風呂桶に氷水を入れて隣の部屋に入っていくのが見えました。
ただごとじゃない様子に、ボクと友達は、扉が開けられたままの隣の部屋を覗いてみました。
「あぁぁーーー」
獣の叫び声のようなものが聞こえました。
見ると、ベッドで身をよじるようにして暴れている生徒がいます。
Oくんでした。
「あつい!あつい!あつい!」
Oくんは、そう叫びながら、身体をなんどもよじらせていて、暴れるOくんの手足を先生と同室の子が押さえていました。
一歩、その部屋に入ると、まるでサウナのような熱気でした。
部屋の隅で呆然と立っているOくんと同室の子に事情を聞くと、「わからないけど、寝てたらOがいきなり『暑い』って叫び出したんだよ」と言いました。
先生が水で濡らしたタオルをOくんの額に乗せると、熱々の鉄板に食材を置いた時のようなジューっという音がしました。
「関係ない生徒は、自分の部屋に戻りなさい!」
野次馬が増えてきたのに気づいた先生の1人に促され、ボクたちは自分の部屋に戻されました。
それからしばらく隣の部屋の騒ぎは続きました。
翌朝、担任の先生から、Oくんが入院することになったと聞かされました。
心配でしたが、最終日の朝になると、ケロッとした顔でOくんは戻ってきました。
「よく覚えてないんだけど、点滴打ってもらったら治った」とOくんは言いました。
結局、原因はわからずじまいでしたが、Oくんの体調も回復したことで、修学旅行は無事に最終日も終えました。

ところが、です。
修学旅行明けに、撮影した写真を持ち寄ってクラスのみんなで見ていると、首里城で撮影した写真におかしなものが写り込んでいたのがわかりました。
Oくんの周りにだけ、不思議な赤いモヤがかかっていたのです。
モヤは、Oくんの身体を包むように纏わりついていて、先端は波打っていました。
・・・まるでOくんが炎に焼かれているように見えました。
いやがおうにも、誰もが、首里城とホテルで『暑い暑い』と苦しんでいたOくんの姿と重ねてしまいました。
なんだか気味が悪くて、それらの写真はOくんの目に触れる前に、すぐに削除されました。

つい先日、首里城が全焼したニュースが話題になっていましたが、実は歴史上、首里城はそれまでにすでに4度も焼失していて、これで5度目となります。

5度にもわたる全焼と、修学旅行の時に撮影された炎に焼かれたような奇妙な写真。
何かしらの因果を感じてしまうのはボクだけなのでしょうか。

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