御朱印の怖い話

Gさんは御朱印集めが趣味だ。
旅行に行くたび、周辺の神社やお寺に立ち寄り、必ず御朱印をもらうようにしている。
集めた御朱印は100以上、手帳は7冊に及んでいた。

Gさんは、おりおりに御朱印帳を開き、集めた御朱印を振り返って見ているのだけど、ある時、どこでもらったものなのか、記帳してもらった覚えのない御朱印を手帳の中に見つけた。
かなり荒々しく、掠れた墨で描かれていて、他の御朱印にはないインパクトがあるので、なぜ覚えていないのか不思議で仕方なかった。

その前後でもらった御朱印を見る限り、Y県を旅行した時にいただいた御朱印のようだった。
そこまで思い出しても、どうにもこの御朱印をもらった記憶にはいきつかない。
一緒に旅行した旦那さんに確認してみても、旦那さんも、前後で御朱印をもらった神社は覚えているのに、その御朱印だけ心当たりがないという。

改めて、問題の御朱印をつぶさに調べてみると、だいぶ崩した書体で判別しづらかったが、 ××神社という社名が読み取れた。
Y県で××神社を調べてみると一件だけヒットした。

ところが、Googleマップでxx神社を調べてみて、Gさん夫妻は青ざめた。

ずいぶん前に打ち捨てられた廃神社だったのだ。

どうやら、心霊スポットにもなっているようだった。
2人とも怖がりなので、そんないわくつきの場所に行くはずがない。
「こんな御朱印、もらってないよ、やっぱり」
Gさん夫婦は、背筋が凍る思いだった。

しかも、xx神社は水子供養の神社だったようで、
それが一層、Gさんには恐ろしく感じられた。
なぜなら、このところ妊活に関して、夫婦で揉め事が多くなっていた上に、
近所から聞こえる赤ん坊の泣き声にストレスを募らせていたからだ。

Gさん夫妻は、すぐに、然るべき場所にその御朱印を納めて供養してもらった。
すると、夫婦の揉め事はなくなり、赤ん坊の泣き声もやんだという。

後でわかったことだが、Gさん夫妻が暮らす家の近所で赤ん坊は生まれていなかったそうだ・・・。

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