【怖い話】修学旅行の写真
「一枚くらい心霊写真あるんじゃないかな?」
ある日の放課後のこと。
誰かが言った一言がきっかけで、クラスメイト数人で、修学旅行の写真を片っ端からチェックすることになった。
僕たちの修学旅行は京都だった。
神社仏閣の写真が多かったし、土地柄的に何か写り込んでいたりするかもしれない。
おもしろ半分で始めたものの、学校で撮影してくれた写真やクラスメイトが持ち寄ったものを合わせると、数百枚以上の写真があった。
はじめは面白い写真を見つけるたび、旅行の思い出話が盛り上がってしまい、チェックがなかなか進まなかった。
けど、しばらくすると、みんな黙々と写真をチェックするようになっていた。
なかなかそれらしい写真は見つからない。
もう諦めていいんじゃないかなと思って、チラッと友達をうかがってみると、みんな真剣な表情で写真の中の違和感を探している。
勝手にやめるわけにもいかず、僕は写真のチェックを続けた。
何枚チェックしてみても、一向におかしな写真は見つからない。
まだ、写真は山のように残っている。
終わりが全く見えない。
集中して写真を見ていたので、目がだいぶ疲れていた。
けど、誰もやめようとは言い出さない。
一言もしゃべらず黙々と写真を見続けている。
「・・・おい!」
1人の声にハッとした。
窓の外は真っ暗になっていた。
時計を見ると、午後7時を回っていた。
時間を忘れもう何時間も写真のチェックを続けていたらしい。
目の前の写真の山を見つめ、なんでこんなことしていたのかという疑問が頭をもたげた。
他のみんなも同じ気持ちだったようで、我にかえった様子だった。
「オレたちなんでこんなことしてたんだっけ」
「さぁ・・・」
誰も心霊写真探しに熱中したきっかけが思い出せない。
「途中で何度もやめたいと思ったけど、やめたらいけないような気がして」口々にみんなが言った。
結局、一枚も心霊写真は見つからなかったけど、みんなして取り憑かれたように心霊写真探しを続けたのはなぜだったのか。
自分達に何が起きたのかみんなで意見を出しあったものの、誰も納得できる答えを出すことはできなかった。
それこそ超常的な何かに突き動かされたのかもしれない、という話でケリがついた。
家に帰るとドッと疲れを感じた。
部活の練習でヘトヘトになった時とは違う種類の疲労だった。
制服を脱いで、学校のカバンを開けて、僕は言葉を失い固まった。
カバンいっぱいに修学旅行の写真が入っていた。
教室に置いてきたはずなのに。
いつの間に。
無意識に入れるとは思えない。
怖くなって、友達のグループLINEで報告しようとスマホを手に取った。
すると、LINEに4件の通知が来ていた。
「やっと見つけた」
「やっと見つけた」
「やっと見つけた」
「やっと見つけた」
今日のメンバーが全く同じメッセージを次々に送ってきていた。
見つけた?何を?
心霊写真のことか?
みんなも写真を持ち帰っていたのか?
わけがわからずとまどっていると、修学旅行の写真の一枚が目に留まった。
自分の後ろ姿を友達が撮影してくれた写真。
けど、こんな写真あったっけ、、、
すると、信じられないことが起きた。
写真の中の自分がゆっくりと振り返り始め、、、輪郭の肌色が見え、黒目が現れ、、、僕ははっきりと写真に写る自分と目が合ったのを感じた。
写真の中の自分は別人のようにこちらを睨みつけていて、、、
気がつくと、夜中になっていた。
気を失っていたのか、眠ってしまったのか。
スマホを見ると、寝ている間に、僕はLINEを友達グループに送っていた。
「やっと見つけた」
問題の自分の写真は、二度と見つからなかった。
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