【怖い話】【サスペンス】第175話「事故現場の怖い話」

2017/10/16

 

その日、私は彼氏の運転でドライブにきていた。アウトレットモールで買い物をしたり、SNSで話題のスイーツを食べたりして、帰る頃には、すっかり夜遅くなっていた。
私達が住むC町は、最寄りの高速道路のインターを降りてから山をひとつ越えなければいけない。
夜の峠道に私達以外の車は走っていなくて、ちょっと怖かった。
その時だった。
前方にテールランプをつけて停車している対向車が見えた。
人影が立っていて、こちらに手を降っている。
「事故かな?」
私が言うと彼氏は車を減速させた。
困っている人がいると放っておけない人なのだ。
ライトの光が人影を浮かび上がらせた。
眼鏡をかけた40代くらいの男性だった。
カットシャツにチノパンという出で立ちだった。
彼氏は車を横付けして窓を開けた。
「どうかしましたか?」
「車がエンストしてしまって、立ち往生していたんだ。原因がよくわからなくて」
「お手伝いしましょうか?」
彼氏は車には詳しかった。
「そうしてもらえると助かる」
彼氏はシートベルトを外して車を降りようとした。ドアに手をかけた彼氏の動きがピタッと固まった。
突然、シートベルトをかけ直すと、車を急発進させた。
バックミラーにこちらを見ている眼鏡の男の姿が映っている。
「どうしたの?急に!」
彼氏はガタガタと肩を震わせていた。
スピードをぐんぐん上げていく。
「ねえってば!」
私は怖くなって大きな声を出した。
「・・・後部座席に女の人がいたのが見えた」
「それが?」
「胸にナイフが刺さっていた」
「・・・え?」

その後、彼氏と一緒に警察に行きました。刑事さんの話では、もし手伝いを申し出ていたら、二人とも殺されて車を奪われていたのではないかとのことでした。
でも、何より怖いのは、警察がかけつけた時には、車と女性の遺体だけ残して男性がいなくなっていて、いまだに逮捕されていないことです。

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