【怖い話】庭に立つ女 -短編-

「ママ、またいるよ。女の人」
4歳になる1人息子が窓際に立ち庭を指差していった。
一緒に窓から外を見てみるが、真っ暗な庭が見えるだけ。

この頃、頻繁に同じことが起きていた。
息子はしばしば窓から庭を見つめては、「女の人がいるよ」という。
そのたび、庭を確認するのだが私には見えない。
息子にだけ見える女の人。

「誰もいないじゃない!」
つい声を荒げてしまった。
「いるよ!」
もう一度、窓を見て、ハッとした。
女の顔。
それは、窓ガラスに反射する自分の顔だった。
ばかばかしい・・・。
ふいに思いいたった。
息子は庭を見ていたのではなく窓ガラスに反射する家の様子を見ていたのか。
「ほら、ママのうしろ」
窓ガラスに反射して写る私のうしろ、暗い目をした女が立っていた。

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