あおり運転の怖い話

これは先日、彼女とドライブにでかけた時に体験した怖い話です。

高速道路を走っていると、後続に一台の車がぴったりついてきました。
追越車線から左側の本線に寄ったのですが、後ろの車も車線変更してきました。
ちょっとブレーキをかければぶつかりそうな危ない距離でした。
今話題のあおり運転かと、ドキッとしました。
僕がチラチラとバックミラーを見るので彼女も気づいたみたいで、「次のサービスエリアによる?」と聞いてきました。
僕は何度か車線変更をしたり減速したりして離れられないか試してみましたが、後続車はぴったりくっついて離れようとしません。
標的にされているのは明らかでした。
しまいには、クラクションを鳴らし始めました。
僕と彼女はすっかり怖くなってしまい、次のサービスエリアが見えてくると、祈る思いで寄りました。
ところが、あおってきた車も僕たちに続いてサービスエリアに入ってきました。
駐車場に車を停めると、あおり運転の車もすぐ近くにとまりました。
僕は慌ててドアと窓のロックをたしかめました。
「なにを言われても反応しないようにしよう」
そういうと、彼女はコクコクとうなずきました。
あおり運転の車から、30代くらいの恰幅のいい男が勢いよく降りてきました。
一直線に僕たちの車に向かってきます。
僕は心臓が縮むような恐怖を覚えました。
男は運転席側にくると激しく窓を叩いて何か叫んでいます。
何を言っているのかわかりませんが、繰り返し同じフレーズを叫んでいるようでした。
自然と唇を読んでいました。

こ・・う・・ぶ・・ざ・・せ・・き!

『後部座席』
そのフレーズがわかった瞬間、「きゃーー」という彼女のものすごい悲鳴が車内に響きました。
後部座席に向けられた彼女の視線を追い、「うわーー」と出したことのない声が思わず出ていました。
血まみれの見知らぬ女がこちらを睨みつけていましたのです。
僕と彼女は転がり出るように車を飛び降りました。
後部座席の女が僕を追って腕を伸ばしてきましたが、男の人が僕の腕を持って助け上げてくれ、間一髪でドアをしめてくれました。

僕と彼女は男の人に連れられサービスエリアのベンチに逃れました。
「あの車呪われてるよ。レンタカーだろ」
聞くと男性は強い霊感の持ち主で僕たちの乗った車の後部座席に邪悪な霊が乗り込んでいるのが見えたので警告のために呼び止めてくれていたのだそうです。
レンタカー会社に事情を話すと、断られるかと思いましたが、引き取りにきてくれることになり、僕たちはそのサービスエリアで高速を降り、バスと電車で帰路につきました。
レンタカー会社の人に車を渡す際、数珠やお守りを持って車に乗り込んだのを見逃しませんでした。
そんないわくつきの車をレンタルするのもどうかと思いますが、それ以上に強く思うのは、もうあんな目にあいたくないということです・・・。

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