【怖い話】九十九里浜・地図から消えた海岸

 

これはサーファー仲間のAさんから聞いた怖い話です。

Aさんは、東京都在住で、よく未明の時間帯に千葉県の九十九里浜でサーフィンをしていました。
ある時、Aさんは、偶然、九十九里ビーチライン沿いに、
真夏にも関わらず誰もいない海岸があるのを見つけました。
車の乗り入れはできませんが、広いビーチと海を独り占めできる穴場でした。

Aさんは、近くの駐車場に車を停めて、早速、その海岸に足を運んでみました。
普段、Aさんが通っている白里中央海岸は、サーフィンをしている人や釣り人で賑わっていますが、その海岸は静かで、自分だけのプライベートビーチかのようでした。

気持ちよく波に乗り、今度からこの海岸に通おうとAさんが思っていた時です。
砂浜に人影が見えました。
人影は、Aさんに向かって何かしゃべりかけているように見えました。
まだ夜が明け切っていないので、
薄ぼんやりとしたシルエットにしか見えませんでしたが、女性のように思われました。
もしかして遊泳禁止の場所だったのかな、と思って、Aさんは泳いで浜辺に向かいました。

浜辺まで十メートルほどの距離に近づいた時です。
突然、人の泣き声が聞こえてきました。
泣き声は波の音を突き破るようにAさんの耳元で聞こえました。
一体なんなんだとAさんが戸惑っていると、
浜辺に立つ女性が「ヴアアアアアア」と奇声を上げ、
突然、女性の身体が燃え始めました。
Aさんは、真っ赤に立ち上る炎をただ呆然と見つめることしかできませんでした。
炎に焼き尽くされた女性の身体は黒い灰となり風に散っていきました。
あとには何も残されていませんでした。

Aさんは、逃げ出すように海から上がり、急いで車に引き返したそうです。

後でAさんが調べたところによると、
その海岸は、九十九里浜の「地図から消えた海岸」と呼ばれる有名な心霊スポットでした。

かつてその場所は「浜宿海岸」と呼ばれていて、1982年には不審な連続焼死事件がその海岸で発生していました。
計3名の男女が立て続けに焼身自殺し、共通点がない死者全員が44歳だったという奇妙なつながりがあったといわれています。
この事件以降、浜宿海岸周辺では度々霊が目撃されるようになったらしいです。
一説によると、通り沿いにある鳥居を撤去しようとした祟りとも言われているそうです。

Aさんは、それ以来、二度と浜宿海岸には近づいていないといいます。

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