【怖い話】【心霊】第161話「ビジネスホテル」

2017/10/16

 

急な出張が決まり宿泊するホテルを探したが、夏休みだったのでどこも埋まっていて、ようやく見つけたのは駅からも遠い古いビジネスホテルだった。ホームページの外観写真が自然災害の後かのようで、今にも倒壊しそうだった。
仕事を終えると、途中のコンビニでビールとつまみを買い、ビジネスホテルに向かった。出張の理由が、部下の不始末をクライアントに詫びることだったので、ヘトヘトだった。
今すぐにでも酔っぱらって眠りたかった。
フロントにしわくちゃのおばあさんが座っていた。
予約したものだと告げると、黙ってキーを差し出す。何の説明もない。どうやら後払いらしい。
キーに刻印されたルームナンバーを頼りに部屋に向かう。
人一人入っただけで息苦しいエレベーターは、ギシギシと嫌な音を立てながら、上がっていく。
予想していたが、部屋もひどかった。
禁煙の部屋にも関わらず部屋に煙草の臭いが染み付いている。
ベッドは固くて、シーツからは奇妙な臭いがした。壁も薄くて、同じ階に宿泊している人達が立てる音が全部聞こえてるんじゃないかという気がした。
一晩の我慢だ。そう自分に言い聞かせ、コンビニの袋からビールを取り出し、蓋を開け、一気に飲んだ。
疲れもあって、すぐにほどよく酔いが回った。部屋がこれでは、風呂も期待ができない。お湯が出たら喜ばないといけないかもしれないな、そんなことを考えるうち、ウトウトしてきた。

ブツン!

突然の機械音に目が冴えた。
テレビから通販番組が流れ出した。
どうやら誤ってリモコンのスイッチを押してしまったらしい。
慌ててリモコンを手探りで探したけど、見当たらない。おかしいなと思って、部屋を見回すとテレビ台にリモコンが置いてあった。
・・・テレビが勝手についた?
嫌な感覚がしたけど、ひとまずリモコンでテレビを消した。
忘れて寝よう、そう思って、ベッドのライトだけにして、シーツを頭から被った。
チカチカしてまた目が冴えた。
ベッドのライトが明滅していた。とんだオンボロのビジネスホテルだ。
仕事の苛立ちもあって、クレームの一つでも言ってやろうと、備えつけの電話でフロントを呼び出した。
・・・何度、鳴らしても出ない。
受話器を叩きつけた。
仕方なくベッドサイドのライトを消し、部屋を真っ暗にして、眠ろうとした。
何度も寝返りを打ち、ようやく眠りについた。
・・・目覚めるとまだ夜は明けてなかった。
身体が重く、まだ眠りたかったけど、こんなホテル一刻も早く退散して、カフェにでも行こうと思い、電気をつけた。
・・・絶句した。
私のキャリーバッグに何か紙が貼られていた。近くで見ると、ミミズがのたくったような字に、朱で模様が描かれている。
・・・御札だった。
私は逃げるようにホテルを後にした。
「またおこしください」フロントの老婆の不気味な微笑みは今でも頭を離れない・・・。

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