【怖い話】訪問者

2021/11/16

Sさんは、閑静な住宅地にある一軒家で暮らしている。

ある、どしゃぶりの雨の夜、いきなり玄関チャイムが鳴った。

こんな夜更けに誰だろう、、、

玄関を開けると、若い女性が立っていた。

雨に濡れ、長い髪から雫がポタポタと垂れている。

Sさんが声をかける間もなく、女性はドアを強引に開けて、靴も脱がずに家にあがりこんできた。
よく見ると女性は裸足だった。

「ちょっと!」

止める声も聞かず、女性は勝手に2階にあがっていった。
女性が通ったあとに、濡れた足跡が点々と続いている。

恐ろしくなったSさんは警察に電話して、一緒に家の中を捜索してもらったけど女性の姿はどこにもなかった。
酔っ払いか何かで2階から逃げたのだろうと警察の人は言った。

けれど、Sさんはそう思わなかった。
それから半年たっても、あの女性が今も家の中にいるのではないかとSさんは気が気ではなかった。

根拠なくそう思い込んでいるわけではない。

雨の日になると、Sさん一家が出かけてもいないのに、家の中で、濡れた足跡が必ず発見されるのだそうだ。

#615

Twitterはこちら

-呟怖/超短編, 怖い話, 水に関する怖い話