【怖い話】放課後の密談

Tさんは中学の教員歴15年のベテランだ。

ある日の放課後、担任をつとめるクラスの教室前を通りかかると、女子生徒2人が顔を寄せ合ってヒソヒソと話し込んでいるのが見えた。

聞いたら悪いと思いながらも、2人のただならぬ様子につい足を止めた。

「飛び降りは?」
「うーん、見つからない?」
「首吊りにする?」
「力がいるよ」
「線路に飛び込むのは?」
「監視カメラあるし」

会話の内容にTさんは愕然とした。
2人が話しているのは自殺の方法の相談ではないか。
熱血漢のTさんは見過ごすことができず、2人の会話に割って入った。

「おい!2人とも。馬鹿なことはやめろ。自殺なんて。何か悩んでるなら相談してみろ」

すると、女子生徒2人は、冷めた目でTさんを見つめていった。

「私達が相談しているのは、先生を自殺に見せかけて殺す方法ですよ?」
「・・・え?」

女子生徒2人は、いたずらっぽく笑いあいながら教室を出て行った。
Tさんは、金縛りにあったかのように、その場からしばらく動けずにいた。

よく考えたら、2人はTさんのクラスの生徒達ではない。学校内で見かけた覚えもなかった。

今のところTさんの身辺でおかしなことは起きていないというが、なんとも気持ちの悪い経験として、いまだに忘れられずにいるそうだ。

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