東海道新幹線の怖い話 #214
これは先日、大阪出張に新幹線で行った時に体験した怖い話です。
連日の仕事疲れもあって、品川を出発するとすぐに眠気に襲われました。
うとうとしていると、パタパタパタと子供が通路を走る音がしました。
よほど楽しいのか何回も繰り返し走っています。
音が気になって眠れず、親は何をやっているんだろうと目を開けました。
私が座っている座席の横を3、4歳くらいの男の子が勢いよく走り抜けていきました。
まったく・・・。
子供がどこへ行くのか見ようと座席から少し腰を浮かせました。
オフシーズンなので座席はかなり空いていて、空席が目立っていました。
男の子は、親元にはいかず、ドアまで走ると、また戻ってきました。
いい加減にして欲しい。
再び横を通った時に一声かけようと思って待っていると、男の子はちょうど通路を挟んだ向かいの座席に飛び乗りました。
私は目を疑いました。
窓際で若い女性が眠っていたのですが、
男の子は眠っている女性のお腹の中にスーッと溶けるように消えていったのです。
なにいまの?目の錯覚?
すると、今度は、女性のお腹の部分から男の子の頭だけ出てきました。
そして、男の子がこちらを向きました。
私は咄嗟に目をそらしました。
目を合わせたらダメ!
私は顔を逸らし目をつむりました。
大阪までずっとその状態です。
冷や汗をかきっぱなしで、
生きた心地がしませんでした。
男の子がこっちを見ているような感覚が絶えずありました。
大阪到着のアナウンスを聞いて、おそるおそる目を開けてみると、男の子の姿は消えていました。女性はまだ眠っていました。
ホッと胸をなでおろしました。
到着するやいなや私は逃げるように新幹線を
降りました。
ホームに降りて気持ちを落ち着けると、少し冷静に考えられるようになりました。
ひょっとしたら、あの男の子は水子の幽霊なのではないか、そんな気がしました。
やむをえない事情でおろした赤ん坊の幽霊がお母さんにとり憑き、お腹の中で育っている。そう思うと、恐ろしくも少しかわいそうな気がしました。
私は、改札に続くエレベーターに乗り込みました。
きゃきゃきゃ・・・。
誰もいないエレベーターで子供の笑い声が聞こえてきたかと思ったら、私のお腹から男の子の後頭部が出てきました。
クルリと頭の向きが変わり、男の子が私の顔を見て、ニタリと笑いました。
私はありったけの悲鳴をあげました。
・・・もうすぐ6歳くらい。
学校にあがる年令です。
シングルマザーは大変です。