これは数年前、大学の友人2人と真夜中の高尾山にいった時に体験した怖い話だ。
高尾山は東京都八王子市にある山だ。
都心からアクセスがいいので観光客が多く訪れる。
ロープウェイも整備されていて、夏場になるとビアガーデンがオープンする。
しかし、季節外れの真夜中となると話は別だ。
僕達が行ったのは12月の寒い日だった。
電気が落ちたロープウェイ乗り場は人の気配がなくシンとしていた。
ロープウェイ乗り場の近くから、登山道が始まっている。
普段観光客が多いのでかなり歩きやすく整備されている。
僕達3人は懐中電灯を片手に登山道を登っていった。
目的などなかった。
単なる思いつきだった。
僕達は全員八王子市内の同じ大学に通っている。
「そういえば高尾山いったことない」
僕は自分が言った発言を後悔していた。
「じゃあ、行こうぜ」
完全なワルノリだ。
12月の夜の登山道は凍えるような寒さだった。
厚手の服のすきまから冷たい風が吹きつけた。
30分ほど登って僕は言った。
「帰らない?」
「だな」
他の2人も顔がかじかんで赤くなり、鼻水を垂らしていた。
「俺達、馬鹿みたいだな」
「間違いない」
「あ、温泉寄ってかない?」
「賛成」
帰れると思うと気が楽だった。
僕達は自分達の馬鹿さ加減を笑いながら来た道を下り始めた。
だいぶ道がなだらかになってきた頃、登山道入口の方から5つの懐中電灯の明かりが登ってくるのが見えた。
どうやら自分達以外にも似たようなことを考える馬鹿なグループがいたようだ。
僕は妙な親近感を勝手に覚えながら、下っていった。
細い登山道で僕達はすれ違った。
5つの懐中電灯は、年齢も性別もバラバラのグループだった。
全員マスクをつけていた。
家族なのかもしれないけど親密さが感じられなかった。
挨拶くらいしようかと思ったけど、彼らはまるで僕達と目を合わせようとしなかった。
俯いたまま通りすぎていった。
ただ5人全員黒いポリ袋のようなものを手に持っていた。
変な集団だな・・・。
他の2人もそう思ったみたいで、僕達はしばらく立ち止まって、彼らが登っていくのを見ていた。
やがて5人は高尾山の闇に消えていった。
最近になるまで、このことはずっと忘れていたのだけど、先日、あるニュースをネットでたまたま見かけてハッと思い出した。
高尾山中から白骨化したバラバラ死体が発見されたというニュースだ。
死体は全部で5つに分解されていたという・・・。
5人がそれぞれ持っていたポリ袋・・・。
ニュースを知ってすぐに、あの時一緒に登った2人に連絡を取ろうとしたのだけど、
2人とも電話番号が変わっていて繋がらなかった。
なにかおかしい・・・。
つい最近まで連絡を取り合っていたのに。
インターフォンが鳴っている。
誰かがきたらしい。
2人のことは後で考えることにして、僕は玄関に向かった・・・。

