Cさんの愛猫が亡くなったのは突然のことだった。
毎年の健康診断でも一度も引っ掛かったことがなく健やかに暮らしていたのに、
ある日の朝、何の前触れもなく、Cさんが眠る布団の上で冷たくなっていたのだ。
Cさんは現実を受け止められず仕事も手につかなくなった。
親友であり人生のパートナーを失った心の傷はどのようにしても埋めようがなく、悲しみに暮れるしかなかった。
愛猫の死から数日。
奇妙なことが起きた。
夜、Cさんがベッドでうつらうつらしていると、布団の上にドスンと何かが乗っかってきた感触があった。
まさか、あの子が……?
Cさんの愛猫は、亡くなる数ヶ月前からCさんの布団の上で一緒に寝るのを好むようになった。
もしかしたら心配して出てきてくれたのか。
Cさんはドキドキしながら目を開けた。
しかし、布団に乗っていたのはCさんの愛猫ではなかった。
薄気味悪い女が恨めしそうな顔で上目遣いにこちらを見ていた。
気がつくと朝だった。
夢だったのか。
しかし、夢にしてはリアルだった。
女の顔は、はっきりと思い出せる。
恨みがこもったあの目つき。
思い出すだけで寒気がする。
ふとCさんは思った。
あんなに健康だった愛猫が突然死んだのは、あの女に原因があるのではないか。
だとしたら悔しくて仕方がない。
一方でこうも思った。
愛猫がCさんの布団の上で寝るようになったのは、あの女からCさんを守ろうとしてくれていたからかもしれない、と。
その後、愛猫の遺品をベッドに置いてみると、女は二度と現れることがなかったという。
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