【怖い話】子供にだけ見える

 

娘が小学校にあがる前の話です。

私が台所で夕飯を作っていると、
娘が私のエプロンを引っ張っていいました。
「ねえ、ママ。あのお姉さんだれ?」
「お姉さんて?」
「ずっといるよ」
そう言って娘は玄関の方を指さしました。
鍵を閉め忘れてお客さんが入ってきてしまったのかな。
そう思って玄関に行くと、誰もいませんでした。
「そのお姉さんだれ?」
娘が私の背中に隠れて言いました。
「お姉さんなんていないじゃない」
「ずっといるよ」

それ一回きりだったらよかったのですが、
娘はそれからもしばしば私には見えない"お姉さん"について話をしました。
空想の友達というわけでもなく、娘いわく、いつも黒い服を着た怖い人なのだといいます。
主人に相談しても、構ってやらないからだとまともに話も聞いてもらえませんでした。
私は、娘を児童心理カウンセラーさんのもとに通わせることにしました。
何回かカウンセリングを受けても変化はなかったのですが、不思議なことに、小学校に上がると、娘はパタッと"お姉さん"について話をしなくなりました。

今年で娘は19歳になりますが、おかしなことはおきていません。
そんなこともあったよねと解決した今となっては笑い話です。
私は食卓で娘と二人きりの時に
、どうせ本人は覚えていないだろうと、"お姉さん"の話をしてみました。
すると、娘の表情がみるみる曇りました。
「・・・あのさ、ママが不機嫌になると思ってずっと黙ってたんだけど、本当はまだウチの中にいるよ、その人。ママのすぐ後ろに」

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