8月13日に迎え火をしていると5歳になる息子のタケルが聞いてきた。
「ねぇ、ママ。お盆ってなぁに?」
「お盆っていうのは、亡くなった家族やご先祖さまの“たましい”が、いえに帰ってくる日なの」
「じゃあ、おじいちゃんやおばあちゃんが家に帰ってくるの?」
「そうよ」
「じゃあ、けいこちゃんも、たかしくんも、ようこちゃんも、まさるくんも、ひろみちゃんも、しんいちくんも、みちこちゃんも、のぶおくんも、あきこちゃんも、けんじくんも、さとこちゃんも、たかゆきくんも、ゆりこちゃんも、かずおくんも、えつこちゃんも、ひでおくんも、まゆみちゃんも、よしひろくんも、ともこちゃんも、つよしくんも、きよこちゃんも、たけしくんも、のりこちゃんも、ひろしくんも、みほちゃんも、ゆうじくんも、あやこちゃんも、しげるくんも、なおこちゃんも、たつ……」
「……タケルッ!!」
大声で呼びかけるとタケルは名前を連呼するのをやめてキョトンとした。
後で聞いたら、その時のことをタケルは何も覚えていなかった。
なぜタケルが大勢の名前を連呼したのかはわからない。
お盆は奇妙なことがある……。
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