ショートホラー

ランニング #006

早朝の川原には、霧が深く立ち込めていた。田所俊作は、近所の川原の土手をランニングしていた。毎日走っているコースだった。まだ午前5時を少し回ったところなのでほとんどひとけがない。出勤前の早朝ランニングは頭をクリアにしてくれる。走らずに会社に行...
ショートホラー

第4話「捨て神」

「佐久間。お前、神様いらないか?」そんな、奇妙な質問をしてきたのは、大学のサークル仲間の金村だった。金村は、神社の跡取り息子だから、酒に酔って冗談を言っているのかと初めは思ったが、どうもそうではないらしい。金村は、きょとんとしている僕に、「...
怖い話

「雨女」 雨の日に現れる謎の女の都市伝説#003

僕が高校生の時、雨女という都市伝説が流行ったことがある。大雨の日に、ひとけのない道の半ばで、傘もささずにうずくまっている若い女性がいたら、それは雨女だという。雨女に決して声をかけたり、傘を差し出してはいけない。もし、それをしてしまうと、雨女...
怖い話

【怖い話】古着 #002

大学の友人のAは、古着が好きだった。僕は、誰が着たかもわからない代物など着用したくないタイプなので、その点では意見が合わなかった。何度か古着屋に付き合ったことがあり、その度、古着の良さを熱弁されるだが、風合いや色褪せの加減など、今ひとつピン...
怖い話

【怖い話・心霊】人形 #001

私が小学校4年生の時、一番の仲良しだったAちゃんが交通事故で死んだ。お葬式の日、私は、Aちゃんのお母さんに呼び止められた。お母さんの手には、Aちゃんが肌身離さず大事にしていたビスクドールが抱えられていた。「これ、もらってくれないかしら」当時...