【怪談】AirDropの怖い話

AirDropとは近くのiOS端末と写真・動画・書類・URLを共有する機能だ。同じWifiやBluetoothに接続されていれば、連絡先を知らない人同士でも情報をやりとりできる。
一見とても便利に思えるが、実は怖い機能でもある。
最近、電車内でいきなりAirDropを使って、ワイセツ画像を送りつける「AirDrop痴漢」なる行為が横行しているのだ。

これは、そんなAirDropにまつわる怖い話。
Dさんは、都内の会社に勤める派遣社員。
毎日、満員電車でもみくちゃにされながら、池袋のオフィスに通っている。

ある日のこと。
珍しく電車で座れた。
スマホでSNSをチェックしながら、うつらうつらしていると、バナー通知が届いたのが見えた。
反射的にボタンを押してしまって気づいたが、AirDropでファイルを共有するのに同意してしまったようだった。
届いたファイルは黒一色の画像だった。
目を凝らしても何も見えない。
誰かが間違えてファイル共有をしてしまったのかと思った。

ところが、その翌日も、電車に乗っている最中にAirDropで誰かがDさんの端末に画像ファイルを送ってきた。
今度は受信拒否したのだが、バナーで画像は確認できた。
またも黒一色の奇妙な画像だった。
おそらく昨日、画像を送りつけてきたのと同一人物だろう。
2日も続くと、Dさんは薄ら寒い気持ちを感じざるをえなかった。

その翌日。
まさかと思ったけど、またもAirDropで黒い画像ファイルが送られてきた。
周りを見回す。
この車両に乗っている誰かがDさんにおかしなファイルを送ってきている。
なんの意図で?
故意だとしたらストーカーのようだ。
背筋が凍る思いだった。

Dさんは、職場の同僚に相談した。
同僚は第三者からのAirDropを受けつけないようにする設定を教えてくれて、これでもう画像が送られないようになった。
けど、誰が何の目的で、 黒一色の画像を送りつけてきたのかという気持ち悪い謎は残った。
Dさんの同僚には、写真に詳しい友人がいて、画像を調べてもらえることになった。
Dさんは画像を同僚に送った。

その翌日、いつも乗る電車を見送り時間をずらしたけど、誰かに見張られているような居心地の悪さを感じた。
会社に到着すると、同僚がすぐに寄ってきた。
「送られてきた画像、調べてもらったよ」
そして、恐ろしいことがわかった。
輝度や色相をいじると、黒一色だと思われていた画像の裏に隠されていた本当の画像が現れたのだという。
同僚に解析後の素材を共有してもらったDさんは言葉を失った。
壁一面にお札が貼られた廃屋のような場所を写した写真だった。
・・・なんなのこれ。
何かよくないもの、忌まわしい写真だとはわかった。
Dさんはすぐに端末に保存されていた画像を消した。

それから、何かおかしなことがあったわけではないけど、Dさんは今でも電車に乗ると誰かに見られているような感覚を覚えるという。

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