【怪談】証明写真機の怖い話

 

私が大学1年の時、
アルバイトをはじめようと思い、面接に必要な履歴書用の写真を駅前の証明写真機に撮りにいくことにした。

証明写真機は、駅前のにぎやかな繁華街から奥に入った裏路地に設置されていた。
時刻は昼過ぎだったと思う。
証明写真機の前につくと、カーテンが引かれていて、下の隙間を見たらパンプスを履いた女性の足が見えた。
先客がいるらしい。
私はスマホをいじりながら、先客の女性の撮影が終わるのを待った。

10分ほど待っただろうか。
いい加減遅いなと思って、証明写真機の下を覗くと、女性の足がなくなっていた。
気がつかない間に撮り終えて出ていったらしい。
スマホ画面を見ていたせいで気づかなかったようだ。

カーテンを開けて、証明写真機の中に入る。
中には小さな丸椅子があって、撮影用のモニターや操作方法や値段が書かれたパネルがあった。
マニュアルに目を通して、お金を入れ、4×3の写真を撮影した。
数分で撮影は終わった。
写真機の表に設置された受取口で、写真が出来上がるのを待った。
1分も経たずに、出来上がった写真が受取口に落ちてきた。

写真を手にとって確認し、私は思わず悲鳴をあげかけた。
私の顔の右後ろに、別の女性の顔が写り込んでいたのだ。
・・・カーテンの下から見た、パンプスを履いた足の持ち主だ。
背筋が冷たくなり、私は写真を捨てて、逃げるようにその場を後にした。

結局、バイトの面接も落ちてさんざんだった。
半年くらいしてから、写真機が設置された裏路地の前を通りかかったが、証明写真機は撤去されてなくなっていた。
もしかしたら、いわくつきの写真機だったのかもしれない・・・。

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