【怖い話】思い出すな

 

これは先日、知人の怪談師Bさんから聞いた怖い話です。

Bさんは常日頃、友人知人から怪談や怖い話を集めているのですが、ある時、とても恐ろしい話を聞いたそうです。
これはすごいネタになると思っていたのに、一晩経つと肝心の怪談のオチを忘れてしまったといいます。
オチが最も怖かったのは覚えていたのですが、いくら頭を捻ってもオチが出てきません。
3日ほど思い出そうと努力しましたがダメでした。
諦めきれないBさんは、話を教えてくれた知人に連絡を取りました。
ところが、その知人もオチを忘れてしまっていました。
オチに至るまでの話は、きちんと覚えているのになぜか肝心のオチだけが出てこない。
怪談話には、ある程度パターンがあるので、なんとなくこう終わるだろうという推量を当てはめてみても、どうもしっくりこない。
もっと、恐ろしくおどろおどろしいエンディングであったはずなのに、という違和感が拭えない。
Bさんは話を教えてくれた知人と2人で、なぜ思い出せないのかと頭を捻るばかりでした。

その日、Bさんが自宅に帰ると原稿を書いているデスクの上に見知らぬメモがありました。
メモを見たBさんは慄然としました。
『思い出すな』
メモにはそう書かれていました。
慌てて書いたような殴り書きでしたがBさんの筆跡に間違いありませんでした。
Bさんは怪談のオチを『思い出すな』という警告だと感じました。

その時、Bさんを雷に打たれたような感覚が襲いました。
Bさんは思い出してしまったのです。その怪談のオチを。

・・・はて。
この話には続きがあって、とても恐ろしい結末を迎えるはずなのですが、肝心のオチを忘れてしまいました。
またオチを思い出しましたら、お伝えさせていただきます・・・。

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