【怖い話】将門の首塚

 

東京都千代田区大手町にある平将門の首塚は、平将門の首を祀っている塚です。
平将門は平安時代中期、「新皇」を称し、朝廷に反旗を翻しました。
平将門の乱は、武士による初めての大規模な反乱として有名です。
最後は矢を額に受け討ち死にした将門の首は、京都でさらし首にされました。
その首は目を見開き悔しそうに歯ぎしりし、
いくら時間が経っても腐らなかったという伝承があります。
やがて、将門の首は身体を探して空高く舞い上がり、
その首が落ちた場所として伝えられているのが大手町の首塚です。

将門の首塚は、古くから江戸の地における霊地として崇敬を受け続けてきました。
その最たる理由は、この地に対して不敬な行為に及ぶと祟りがあるという言い伝えがあったからです。

近年では、関東大震災で倒壊した跡地に大蔵省の仮庁舎を建てようとした際、工事関係者や省職員、
さらには時の大臣・早速整爾ら十数名が相次いで不審な死を遂げました。
将門の祟りが省内で噂されることとなり、省内の動揺を抑えるため仮庁舎は取り壊されました。
第二次世界大戦後には、GHQが丸の内周辺の区画整理をして首塚をつぶして駐車場にしようとしたところ、
ブルドーザーが横転するなど怪奇現象が相次いだため、計画を取り止めたと言われています。

その後、日本長期信用銀行の本社ビルが首塚を囲むように建てられましたが、
塚に面した場所で仕事をする行員が次々と病気にかかり、また祟りが噂されることになりました。
銀行は、神田明神の神官を招聘し盛大なお祓いを執り行ったといわれています。

今でも、隣接するビルは「塚を見下ろすことのないよう窓は設けない特殊な構造」になっていて、
「塚に対して管理職などが尻を向けないように特殊な机の配置を行っている」と噂されています。

そんな将門の首塚に関して、私の知人から聞いたこんな怖い話があります。

その知人(Mさん)はランニングが趣味で、会社の同僚や学生時代の友人らランニング仲間と皇居の周りをよく走っていました。
Mさんの大学の同級生にTさんという人がいて、ある時、MさんはTさんと久しぶりに走りにいく約束をしました。

皇居の周りを一周走り終え、大手町駅に向かって歩いていると、2人は将門の首塚の前を通りかかりました。
ふと、Tさんが足を止めました。
「なあ、知っているか。この首塚にお尻を向けて仕事すると、祟られるらしいぞ」
Tさんは面白そうに言いました。
昔からMさんは信心深い方でしたが、Tさんはオカルト的な話を馬鹿にする人でした。
なので、Tさんがワザとお尻を首塚に向けた時、Mさんはびっくりして止めました。
「やめとけよ。そういうことはするもんじゃないよ」
「本当に祟りなんかあるわけないだろ」
Tさんは首塚に向けてお尻を何度も振りました。
「これで俺に何かあったらわかるだろ。祟りがあるかないか」
Mさんはハラハラしましたが、その時はそれ以上何かあったわけではありませんでした。

数年後。
Mさんの耳に、突然の訃報が届きました。
Tさんが、自身が経営する会社の階段から転落して亡くなったというのです。
時間も経っていますしMさんも将門の首塚でのことなどすっかり忘れていましたが、葬儀の時、Tさんの最期を看取った会社の部下達が喫煙所で話しているのを偶然聞いてしまったそうです。
「なんだったんだろうな社長の死に際のアレ」
「夢に出てきそうだよ」
「亡くなってたよな、もう・・・」
「そりゃそうだろ。あんな風に首が曲がって生きてられる人間いないだろう」
聞こえてきたきたことから推測するに、
Tさんは首の骨を折り即死だったようです。けれど、あらぬ方向に首が曲がったまま「死にたくない、死にたくない」と数分以上喋っていたというのです。

これもまた将門の呪いなのでしょうか。
それは誰にもわかりません・・・。

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