クリスマスツリーの怖い話

 

12月、父が唐突にクリスマスツリーを買って帰ってきた。
父の職場がある秋葉原のジャンク品専門店の店頭にわずか数百円で売りに出されていたという。
数百円といっても1m50cm以上ある立派なツリーでアダプターを接続すれば光ファイバーで何色にも発光する。
不具合や壊れたところもなかった。
なんでこんな良品が叩き売られていたのかはさておき、
今までクリスマスにツリーを飾る習慣がなかった我が家に、
初めてのきらびやかなクリスマスが訪れることになった。
小学5年生の私は、2歳上の姉と飽きることなくツリーの電飾を眺めていた。
母もきらびやかなツリーに影響を受けたのか、
イブの夜には、鳥の丸焼きや手作りのケーキなど、
豪勢な夕食を用意してくれた。
「明日の朝、きっとツリーの下にプレゼントがあるぞ」
父が寝る前にそう教えてくれた。
明日の朝は、一体どんなプレゼントが置いてあるだろう。
私と姉はワクワクしながら眠りについた。

翌朝、目が覚めると、リビングのツリーまで姉と競うように走った。
電飾が点灯したままのツリーの下に2つギフトボックスが置いてあった。

私と姉は包みをビリビリに破いて箱を開けた。

クリスマスプレゼントは人形だった。
私は男の人の人形。
姉は女の人の人形。
あまり見かけたことがないタイプの人形だ。
海外の玩具なのだろうか、
少しリアルなリカちゃん人形という感じだった。
私がサンタさんにお願いしていた一輪車ではなかったので、
ちょっとがっかりした。
姉も表情を見る限りがっかりしたようだ。
その時、箱の隅に小さな包みがあることに気がついた。
マトリョーシカのようにプレゼントの中にプレゼントがあるのかもしれない。
そんな期待をして包みを開け、私はさらに困惑した。
小さな一輪車のミニチュアが入っていた。
本物ではなく、ミニチュアをくれるなんて、ひどい話だ。
お父さんとお母さんに文句を言おう。
そう思ったら、姉が言った。
「アレ、そういえばお母さんとお父さんは・・・」
言われて気がついた。
起きる時間にはいつも欠かさず朝ご飯が用意されているのに、
お母さんの姿がキッチンにない。
いつもリビングで新聞を読んでいるお父さんの姿もなかった。
姉と2人、困惑して顔を見合わせた。
ふと、姉のギフトボックスの中が気になった。
姉の箱にも、女の人の人形ともう一つ包みが入っていた。
姉も私の視線に気づいたようで包みを開けると、
中からクラリネットのミニチュアが現れた。
クラリネットは姉が前々から欲しいと言っていたものだ。
・・・ただし、今度もミニチュアだった。

急に姉が何かに驚いてギフトボックスを手から落とした。
「どうしたの?」
姉はクリスマスツリーを指差して言った。
「そのツリー、コンセントに電源入っていないのに、光ってる・・・」
本当だ。わけがわからなかった。

・・・ウウ・・・ウウウウウ・・・

その時、ふと、姉が落としたギフトボックスの中から、
人のうめき声のような音が聞こえた・・・。

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