【怖い話】登録した覚えのない電話番号

 

昔、スマホに、登録した覚えのない電話番号から電話がかかってきたことがある。
登録名は、「@jd#g!」というわけのわからない名前だった。
酔っ払っていた時に知り合った人を登録したのだろうか。
とりあえず仕事関係かもしれないので、電話を取った。
「もしもし」
何度か問いかけても応答はなかった。
間違い電話かと思って切ろうとしたら、
「××さんですか?」
と女性の声が微かに聞こえた。
電話が遠くて××のところがよく聞こえなかった。
「どちら様でしょうか?」とたずねると、
「××さんですか?」と再び聞かれた。
やはりxxのところが聞こえない。
「すいません、電話が遠いみたいで。人違いではないですか?」
「嘘をつくな!!」
女性の突然の剣幕に思わずスマホを落としそうになった。
ブツッと電話は切られた。

それ以来、かけなおってこなかったのが幸いだったけど、気持ち悪い恐怖体験として忘れられない記憶となった。

その体験から、2年くらい経ち、
会社の友人から合コンに誘われて参加した。
大学が同じメンバーだという女性陣の中に、
妙に気になる人がいた。
顔がタイプとか性格が好きとかでもなく、
なんとなく気になる。
向こうもそう感じているのか、
僕たちは自然と席替えで近づいた。
結婚相手と出会うと運命の人だとわかると都市伝説的な話があるが、もしかしたら、その感覚なのかと思ったりした。
僕は会話の流れから電話番号を聞いた。
僕が口頭で番号を伝え、
「じゃあ、かけるね」と彼女に電話してもらった。
スマホの表示を見て、僕は固まった。
@jd#g!というわけのわからない登録名が表示されている。
2年前の記憶がすぐに蘇った。
電話帳から番号を消すのを忘れていた。

なぜ彼女がこの番号を持っているのかわからなかったけど、番号が同じなのだから、あの時の電話は目の前の彼女がかけてきたということなのだろう。
「ねえ、はじめまして、だよね?」
僕はたずねた。
「え?はじめて会ったような気がしない?」
彼女の態度は、とぼけているような感じはしなかった。
どう理解したらいいのかわからなかった。
彼女は楽しそうに話を続けている。
けど、耳に入ってこない。
「嘘をつくな!」
あの時の彼女の豹変と声が何度も頭の中でリピートされる。
「ごめん、ちょっと体調悪くて」
僕はそう言い繕って席を立ち、その場から逃げた。

後日、会社の友人に謝罪した。
「もったいないな、お前のことすごく気に入ってた娘がいたのに」
「・・・」

その後、彼女から連絡がくることはなかった。
あのまま残っていたら、僕は彼女と付き合うことになりそうな気がして、それもアリと思ったけど、あの電話のことが不気味すぎて、僕は逃げ帰った。
それでよかったのだと思うようにしている。
あの奇妙な電話は、未来に対する警告か何かだったのではないかと思っている。

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