六本木ヒルズの怖い話

 

六本木ヒルズは不吉な場所として有名らしい。
もともとお寺が4つあった場所に建てられたとか、「六本木6丁目六本木ヒルズ」と666の悪魔を表す並びができているとか、そういった話がいくつもあるようだ。

これは、そんな六本木ヒルズで私が体験した怖い話。

ある時、私は初めて六本木ヒルズに買い物に行ったのだけど、六本木ヒルズのショップは入り組んだ迷路みたいになっていて、渡り廊下があったり、エスカレーターが何箇所にもあったり、方向感覚がなくなり、目当てのお店になかなかたどりつけなかった。

しばらく歩いていたら、行き止まりの袋小路に出てしまった。
壁際に自動販売機が並んでいた。
奥までいって他に道がないのを確認して、引き返そうと踵を返した瞬間、ゾワッとした。
視界のスミ、ほんの一瞬前までいなかったはずの男性がどこからともなく現れたのだ。

見逃したわけがない。
さっきまで確実にいなかった。
何もない空間から急に現れたとしか言えなかった。
男性は、壁の方を向いて、何やらブツブツつぶやいていた。
スーツを着ているので会社員のようだけど、背中が異様に曲がっていて、
男性の周りだけ、陰気なオーラが漂っているように見えた。

私は足早に来た道を戻った。
離れてから振り返って目を疑った。
スーツの男性は消えていたのだ・・・。

この話には後日談がある。

会社の同僚が、実は、その日、
六本木ヒルズで買い物をしている私を見かけたと教えてくれた。
話しかけようと思ったけど、彼氏のような人が一緒だったから邪魔かと思ってやめておいたと、同僚の子は私に言った。
私はずっと一人で買い物をしていたはずなのに・・・。

自宅に幽霊を連れ帰ってしまったのかとも思ったけど、
幸い心霊現象的なことは今のところ起きていない。

霊感がある友達の話では、六本木ヒルズはあえて複雑な造りにして悪いモノが袋小路に迷い込むように設計されているのではないか、とのことだった。
それが本当かはわからないけれど、きっと怖い場所なのは確かなのだと思う。

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