【怖い話】コンビニの駐車場で仮眠を取ったら・・・

 

これは以前、友人の家に車で遊びに行った帰りに体験した怖い話です。

もともとは出産祝いを渡しに行くだけの予定でしたが、思った以上に友人宅に長居してしまい、車で帰ったのは夜が更けてからでした。
明日は日曜なので「泊まっていけば?」と言われたのですが、明後日の月曜には会社で大事なプレゼン発表があるため、その準備のために帰らなくてはなりませんでした。

友人の家から僕の自宅までは、一般道で2時間くらいの距離です。
信号が少ない山道が多く、夜になると車通りもあまりなく心寂しい感じでした。
しばらく車を走らせていると、連日の仕事疲れのせいか眠気を催してきました。
音楽を流したり、ガムを噛んだりしましたが、どうにも眠気はおさまりません。
居眠り運転をしてしまう前に仮眠をとろうと思ったら、運良くコンビニがありました。

駐車場はガラ空きでした。
周辺に他に店はなく、山道にぽつねんとそのコンビニだけある感じでした。
仮眠だけするのは申し訳なくて、起きてから食べようとおにぎりとコーヒーを買って車に戻りました。
季節は4月下旬で、ほどよい涼しさでした。
エアコンは使わず窓を少しだけ開けておきました。
シートを後ろに倒し、横になると、すぐにうとうととしてきました。

どれくらい時間が経ったでしょう。
半分眠っているようなまどろみが続いていました。
ふと、窓の隙間から、ジャリジャリと砂利を踏むような音がしました。
表を誰かが歩いているようです。
薄目を開けて、窓の外を確認し、ギョッとしました。
人影が車の中の僕を覗き込んでいました。
しかも、奇妙なことに、人影は、輪郭がぼやけていて、顔や服が全然見えませんでした。
まさに黒い影でした。
僕は怖くなって、運転席側の窓に背中を向ける方向に寝返りを打ちました。

・・・目を疑いました。
何人もの黒い人影が、助手席側の窓に張りつき、僕を覗き込んでいました。
それだけじゃありませんでした。
フロントガラスの向こうにも、後部のトランクの後ろにも。
黒い影が、僕の車をぐるりと取り囲んでいたのです。
いきなり、黒い影たちは、いっせいに車の窓という窓をバンバン叩き始めました。
まるで、「開けろ」というかのように。
・・・覚えているのはそこまでです。

僕は叫び声を上げながら、飛び起きました。
身体中、汗びっしょりでした。
2時間ほど経っていました。
すぐにエンジンをかけ、逃げるようにコンビニを出発しました。
黒い影が追ってくるのではないか、そんな気がして、しばらくはバックミラーを何度もチェックしました。

車通りが増えると少し気持ちも落ち着き、
僕は、さきほどのコンビニで買っておいたコーヒーに手を伸ばしました。
けど、おかしなことに、買っておいたコーヒーもおにぎりもビニールごと消えていました。

おかしなことはそれだけではありませんでした。
自宅に着いてから、地図を何度確認しても、
僕が立ち寄った場所にはコンビニなどなかったのです。
お店が出来たばかりで地図に載ってないのではないか?
そう思って、コンビニチェーン店のウェブサイトも調べたのですが、僕が使った道路沿いには、1店舗もそのチェーン店は店を構えていなかったのです。

僕が仮眠を取ったあのコンビニは、一体、なんだったのでしょうか。

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