【怖い話】良妻賢母
私の妻は、本当によくできた、良妻賢母のカガミのような人だ。
早朝から子供達と私のお弁当作り。
子供達と私を起こして、朝ごはんを食べさせると、送り迎え。
送り迎えが済むと、家の掃除や洗濯。
それが済むと、パートに向かう。
パートが終わった頃には、子供達が塾に行く時間だ。
急いで家に帰り、子供達を駅前の学習塾に送る。
塾の合間に夕食作り。
子供達が夕食を済ませた頃、私が帰宅。
晩酌の用意までちゃんとしてくれている。
子供達を寝つかせても妻は寝られない。
それから家計簿づけや、マンションの管理組合の仕事、
学校のPTA業務をする。
子供達が学校で使う手提げも妻が全て夜中に作っている。
妻が私より先にベッドに入ることはない。
翌朝、私が起きる頃には、手の込んだ朝食ができあがっている。
どこまでも妻は完璧な主婦だ。
けど、一つ心配というか、心配を通り越して、
恐ろしく感じていることがある。
・・・私は、この数年、妻が寝ているのを見たことがない。
何度か、深夜に目が覚めた時も、
いつも妻は起きて働いていた。
「ちゃんと寝ているのか?」と心配になってたずねてみると、
妻は「大丈夫よ」と微笑むだけだった。
最近、私は妙な考えに取り憑かれ始めている。
消そうとしても、頭の片隅にこびりついて離れない。
私の妻は、本当に私の妻なのだろうか・・・。
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