【都市伝説】クビナシ

 

「なあ、クビナシって知ってる?」

高校のクラスメイトのBとCと僕の三人で、
地元の公園で夜遅くまで遊んでいると、
Bが唐突にそんな話を始めた。
Cと僕は顔を見合わせて首を振った。

「・・・クビナシは丑三つ時に道を歩いていると急に現れるらしい。
まあ、都市伝説みたいなもんだよ。
クビナシという名前の通り、首がなくて、身体だけ。
クビナシは、必ず7人の集団で現れるらしい。
想像してみろよ。いきなり首がない奴らが7人も目の前に現れたとしたら・・・」

僕は唾を飲み込んだ。
怖い話は昔から大の苦手だった。
しかも、夜遅く明かりも少ない公園で、
周りは鬱蒼とした雑木林しかない。
耳を塞ぎたかったけど、怖がりだと馬鹿にされるのは嫌だった。
一方、Cは、興味を持ったようで、「それで?」と続きを促した。

「クビナシは、出くわした人間を取り囲み、
『7つの身体のうち、どの身体がいいか?』と聞くんだそうだ。
答えるまで解放してくれない。
でも、答えてしまったら最後。
一つを選んだ瞬間、クビナシは一斉に襲いかかり、
その人間の首をもぎ取ってしまう。
首を取られた人間は、新しいクビナシとして、奴らの仲間にされてしまうんだと。
選ばれた身体は、クビナシの呪いから解放されるらしい。
そうして、7つの首なし死体は、次の犠牲者を求めて彷徨い続けるんだそうだ」

「なんか似たような話あるよな?七人岬とか」
Cは怖くないのか、天気の話題でもするように感想を述べた。
僕なんかさっきから鳥肌が立ちっぱなしだ。

けど、 ふと、不思議なことに気がついて、Bに聞いてみることにした。
「取られた首はどうなるの?」
「取られた首?・・・さぁ、そこら辺に捨てていくんじゃないか?」
Bも、そこまでは知らないらしい。
けど、生首がそんなにひょいひょい捨てられていたら、社会的な大問題だ。
所詮は誰かが考えた作り話ということなのだろう。
そう考えると、次第に怖さは薄れていった。

その時、Cが言った。
「オレ、知ってる。首がどうなるか・・・」

そう言うや、Cはおもむろに着ていた学ランを脱ぎ出した。
あらわになったCの上半身を見て、僕とBは絶句した。
膨らんだ胸、流線型のボディライン。
Cの首から下は、明らかに女性の身体だった。
そして、Cの首の根元には、赤黒い傷跡が一直線に走っていた。
まるで、首をつけかえられたみたいな・・・。
Cは口元に笑みを浮かべていった。

「・・・なあ、お前達は、どの身体がいい?」

・・・気がつかないうちに僕とBは取り囲まれていた。
7人の首のない人間達に。

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