【怖い話】いるはずのない妹

 

不思議な体験をした。
先日、親族の結婚式に参列した時のことだ。
親族控え室に集まった親族の中で、見かけたことがない女性がいた。
僕は直感的にその女性のことを自分の妹だと思った。
僕には妹などいないのに・・・。
ハッと我に返って、女性が何者なのか近くの親戚に聞こうと思って声をかけてから、振り返ると女性は消えていた。
それから式の最中も探したけど、一度も女性の姿を見かけることはなかった。

・・・自分にはもしかしたら、存在を知らない妹がいたのではないか。
そんな考えが、むくむくと大きくなっていった。
ある日、思いきって母親に、実は妹がいるのではないか、と切り出してみたところ、一笑にふされた。
誤魔化したりしているようには見えなかった。

彼女は何者なのか・・・。
モヤモヤとした気持ちの悪さが残った。

それからしばらくして、同僚と居酒屋で飲んでた時のことだ。
ふと視界のすみに気配を感じた。

離れたテーブルに彼女がいた。
自分の妹だという間違えようがない感覚。
ちょうど彼女は会計をすませて連れと店を出るところだった。

僕は同僚に謝って彼女のあとを追った。
彼女は連れと分かれて駅の方に一人で向かった。
君は誰なんだ・・・?
その謎を知りたくて、僕は彼女の肩を叩いた・・・。

「・・・昨日、○○区の路上で、『君は僕の妹なんだろ』と言って、男が女性に襲いかかる事件が発生しました。都内で同様の被害が立て続けに発生していることから警視庁は同一人物の犯行と見て、逃げた男の行方を追っています」

・・・不思議な体験をした。
たまたま立ち寄ったコンビニの店員さんを一目見て、自分の妹だと感じた。
僕には妹などいないのに・・・。

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