【怖い話】洗濯物が・・・ #262

2018/04/20

 

ベランダに干していた洗濯物がなくなるのに、最近、頭を悩ませている。
下着泥棒だと思われるかもしれないが、私が住んでいるのはマンションの12階なうえ、
下着が盗まれているわけではない。
Tシャツ、パーカー、スウェットパンツ、靴下と続いている。
玄関の鍵がピッキングされたわけでもなさそうだし、まったくもって不可解だった。
残る可能性は、風で飛ばされたか、隣の人が12階のベランダからベランダへ移る曲芸みたいなことをしたかだ。
いずれにせよ、私は解決策を講じることにした。

部屋干しはあまり好きではないけれど、背に腹は変えられない。
室内用洗濯ハンガーを購入し、部屋干しをして、窓の鍵をきっちりかけたのを確認して、出かけた。

帰宅して目を疑った。
お気に入りのスカートがなくなっていた。
鍵はちゃんとかかっている。
完全に閉ざされた部屋から洗濯物が消えた。
まるで密室トリックだ。

わけがわからなかった。

・・・答えがわかったのはやむなく引っ越しを決めた後だった。
部屋を片付けてダンボールに荷物を積めていた時、ふと上を見上げて、
天井裏に繋がるパネルが少しずれているのに気がついた。
脚立を使ってパネルを直したけど、微かに胸騒ぎがした。
・・・天井パネルがそう簡単にずれるだろうか。

私は懐中電灯を持ってきて天井裏を見てみることにした。
パネルをあげて、首を突っ込む。
懐中電灯で照らすと、電気関係の配線がいろいろ交差する奥に、なにかがあった。

それは・・・なくなった洗濯物だった。
こんもり山ができているので、おそらくなくなったもの全てが揃っていそうだ。
・・・一体なぜ??

頭が追いつかない。
その時、突然、全身に悪寒が走った。
懐中電灯の光が届かない闇の中に、なにかが潜んで、こちらを見つめている。
そんな気がした。
猛獣に狙われているような恐怖。
私は慌てて、頭を引っ込めてパネルを閉じた。

幸い引っ越しは無事終わった。

新居になって一息ついたころ、友人にその話をしたら、
事故物件だったのではないかと言われた。
事故物件検索サイトがあるというので、さっそく調べてみると、
確かに事故物件だった。
ただし、事故物件として登録されたのは私が引っ越した後のことだった。
何らかの事件が起きたようだ。
やはり危ない部屋だったのだ。
あのまま住んでいなくてよかったとあらためて思った。

-アパート・マンションの怖い話, 怖い話