羽田空港で体験した怖い話 #256

 

先日、羽田空港で、地元から遊びにくる友達を待っていた時に体験した怖い話。
少し早くついてしまい、到着口前で待っていたのだけど、到着ゲートから出てきたある人を見て奇妙な感覚に襲われた。
50代くらいの、髪が薄い、これといった目立つ特徴のないおじさん。
僕が、その人に引っ掛かったのは、さっきトイレで同じ人とすれ違った気がしたからだった。
お腹でも壊したのか調子が悪そうだったので記憶に残っていた。
ふたごの兄弟がいないのだとしたら、おかしな話だ。
到着する前に、ゲートのこちら側のトイレにいたことになるからだ。
これがデジャブという現象なのだろうか。

そんなことを考えていたら、警備員さんや空港職員の人達が慌てた様子で走っていくのが見えた。
なんだろうと思い、まだ時間があったので、見に行ってみることにした。

さきほど僕が使ったトイレから、担架で誰かが運ばれてくるところだった。
「心臓発作だって」
野次馬の声が後ろから聞こえた。
担架で運ばれている人の顔が見えて、
僕は驚いた。
到着口前で気になったデジャブのおじさんだった。
トイレですれ違ったというデジャブは、このことを暗示していたのだろうか・・・。

友達が乗った便が到着し、ガラスを隔てた向こうの荷物受取所に彼の姿が現れた。
その時。僕は、見た。
ガラスの向こうで、僕に手招きしているデジャブのおじさんの姿を・・・。

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