明治神宮の怖い話 #255

 

明治神宮は、JR原宿駅から歩いて数分。
都心にある代表的な初詣スポットだ。
正月三が日だけで毎年300万人の参拝客があるという。
その明治神宮にまつわる怖い話。

明治神宮には、清正井(きよまさのいど)というパワースポットがある。
数年前にテレビでも取り上げられ、その名は世間に知られることになった。
一時期は参拝するのに数時間待ちという状態もあった。
私も、だいぶブームが去ってからだけど、
女友達数人と参拝に訪れたことがある。

清正井を目指して境内を歩いていると、
うずくまっているおじいさんを見かけた。
体調でも悪いのかと思って、「大丈夫ですか?」と私は声をかけた。
他の子達は、私が立ち止まったのに気づかず、先に行ってしまった。
「・・・清正井に行かれるのか?」
おじいさんからの唐突な質問に私は少し面食らってしまった。
「・・・はい」
「今日は日が悪い。やめておきなさい」
「・・・え?」
「すまないが、入口まで送ってもらえないだろうか」
おじいさんを一人にするわけにも行かず、
友達にはメールを打っておいて、私はおじいさんと一緒に神宮入口に戻ることにした。
おじいさんを見送って、しばらくして、友達たちが帰ってきた。
パワーをもらったと喜ぶ友達を見て、私も行きたかったなとうらやましく感じた。

ところが、それからすぐに、一緒に明治神宮に参拝に行った友達に立て続けに不幸が続いた。
交通事故、病気、恋人との別れ。
何もなかったのは私だけ。
清正井のパワーは何の効果もなかったのかと思ったけど、そうではなかった。
友達の一人が清正井にまつわる怖い噂を調べていた。
清正井はパワースポットでありながら、不幸を招く場所でもあるというのだ。
パワースポットというのは、毎日毎日、マイナスの運気や人の負の情念を吸い取りプラスの力に変えている場所でもあり、悪い気が溜まっているのだという。
溜まりすぎた負のパワーは、一定周期で放出される。
運悪くそういう時期にパワースポットを参拝してしまうと、逆に運気が落ちるのだという。
清正井は、参拝する人数も多いため、そのサイクルが早い。
私たちが行った時は、ちょうど悪い気を放出していた時期だったようだ。
「今日は日が悪い。やめておきなさい」
あれはおじいさんの警告だったのだ。

そんなことがあってから、私はパワースポットと呼ばれる場所にはできるだけ近寄らないようにしている。
ただ、怖いのは、知らず知らずに、そういう場所に行ってしまうことだ・・・。
もし、最近、予期せぬ不幸があったという人がいたら、
訪れた場所を思い返してみるといいかもしれない。

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