モナリザの怖い話 #235

2017/11/14

 

僕が通っていた中学校の美術室にはモナリザのレプリカが飾られていた。
誰もが知る、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた女性の肖像画。
アルカイックスマイルと呼ばれるあの独特な微笑みは一度見たらなかなか忘れられない。
部屋の電気を消すと、薄暗い美術室の壁にぼんやりとモナリザの顔が浮かび上がる。
微笑みをたたえた目がこちらを見ているかのような嫌な感覚がする。
それが気味悪いと、美術室を怖がる生徒は多かった。
夜になるとモナリザが絵から這い出てくるという噂も流行っていた。
そんなある日、僕の同級生で夜の学校に侵入して肝試しをした生徒たちがいた。
翌朝、用務員さんが美術室で意識を失って倒れている彼らを発見した。
誰も何も語ろうとせず、震えるばかりだったそうだ。
そのうち数名は不登校になってしまった。
モナリザが絵から出てきて彼らを襲ったのではないか。
モナリザの呪いとして、噂が広まった。
しばらくして、モナリザの悪評を耳にした美術教師が処分しようとした。
ところが、壁からモナリザの肖像画を外そうとした時、
脚立でバランスを崩し床に頭を強くうちつけ病院に搬送された。
脛椎損傷の重体だった。
モナリザの呪い・・・。
学校中が集団ヒステリーを引き起こしかけ、校長が声明を出すほどの事態になった。
そして、学校が正式に業者を雇い、モナリザを引き取ってもらって、ようやく騒ぎは落ち着いた。
噂によると、その後、モナリザを引き取った業者の従業員が何人も不慮の事故にあったという。
本当かどうかはわからない。
だけど、今でも、そのモナリザのレプリカはどこかにあるのではないか。
そんな気がしてならない。

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