小田急線の怖い話 #220

2018/01/20

 

数年前、小田急線に乗っていた時に体験した怖い話。
当時、俺は小田急沿線の新百合ヶ丘に住んでいて急行電車で新宿まで通勤していた。
毎日のように終電帰りで、くたくたに疲れていた。
いつもは新宿から座って浅い眠りにつきながら帰るのだが、その日は運悪く狙っていた電車が行ってしまっていて、立って帰っていた。
吊革につかまりながらでも寝れそうなほど疲れていた。
成城学園前駅で人が増え、電車はさらに混雑してきた。
俺の右隣には、肩が触れあうほどの距離に学生が立っていたのだけど、その学生との間にスッと、別の手が伸びてきて吊革につかまった。
俺のすぐ後ろに立っている人が手を伸ばしているらしい。
邪魔くさかったけど、その時は特に気にならなかった。
電車が発車して、ちょっとすると、ふと窓ガラスに目がいった。
ガラスに疲弊した俺の顔が映りこんでいる。
疲れてんなぁと思いながら、横を見ると、吊革につかまっている手。
その時、俺はある事に気づいた・・・。
全身がゾワッとなった。
そんなはずはない、見間違いに違いない。
俺は横目で、吊革につかまっている手を見た。
見間違いではなかった・・・。
吊革につかまっている手の、肩から先の身体がなかった。
腕だけが吊革につかまっていた。
それから、新百合ヶ丘駅につくまで生きた心地がしなかった。
金縛りにあったように身体がその場で固まってしまった。
駅に到着しドアが開くやいなや、一目散に逃げた。
ホーム側から問題の吊革を見ると、そこにはまだ腕だけがぶら下がっていた。
電車は何事もなく走っていった。
あの腕は、どこへ向かっていたのだろうか・・・。

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