【怖い話】【心霊】地下室の記憶 #203

2017/09/11

 

僕は実家の地下室が嫌いだった。
暗くじめじめしていて、空気が悪く、山と積まれたダンボールや家具の間から、
なにかがあらわれるのではないかと思うと怖くて仕方なかった。
なぜか、かえてもかえてもすぐに電球が切れるので、いつも懐中電灯を持参していた覚えがある。
日本家屋なのに、なぜこんな地下室を作ったのかご先祖の気が知れなかった。
地下室には怪人が住み着いていて、暗闇の中から僕をのぞいていつも狙っている。
そんな怪談話が自分の中にできあがっていた。

先日、久しぶりに実家に帰ったので、地下室の話をすると、両親は怪訝そうに顔を見合わせた。
「うちに地下室なんてないわよ?」
母親の言葉に僕はハンマーで頭を叩かれたような衝撃を感じた。
そんなはずはない・・・僕は実家をすみずみまで探した。
けど、地下室は本当に存在しなかった。
僕の記憶にある、あの地下室はなんだったのか。
子供の頃、いったい僕はどこに迷い込んでしまっていたのだろう・・・。

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