【怖い話】【心霊】六本木トンネル #194

2017/09/11

 

私は都内でタクシードライバーをしておりますが、タクシーを運転しているといろいろと怖い体験をするものです。
今日はその体験の1つをお話しいたします。

六本木トンネルという場所をご存知でしょうか。六本木ヒルズの近くにあるトンネルですが、乃木坂方面の入口には六本木7丁目に繋がる側道がございます。側道ですので車通りが少なく路肩のスペースが広いので、よくそこで仮眠をとることがありました。

その日私は、夕方からひととおりお客さんを乗せ、日がかわろうという時刻に、六本木トンネルにさしかかりました。
ちょうどよかったと思い、側道の路肩にタクシーを停め、運転席のリクライニングを倒し、休憩しようと思いました。

しばらくしてうとうとし始めると、後部座席のドアが開いて誰かが乗り込んできた気配がありました。
「えっ」と思い、後部座席を振り返りました。
誰も乗っていませんでした。
それもそのはずです。
ドアはロックしておりますので、誰も乗り込めるはずないのです。
夢を見て錯覚したのだろうかと思いました。
働きすぎかもしれないな、そう思って苦笑しました。
そんなことがあって眠れなくなってしまったので、再びタクシーを走らせました。
ところが、この日は運が悪く、なかなかお客さんがつかまりません。
ようやく乗車いただいたお客さんが指定した方面は六本木。
今日はなんだか六本木に妙に縁があるなと思い、渋谷方面から六本木にタクシーを走らせました。
そのお客さんを降ろすと、急にどっと疲れが襲ってきました。
身体がだるく熱もあるような気がしました。
私は再び六本木トンネルの側道にタクシーを停め、休むことにしました。

リクライニングを倒し、目をつむってしばらくすると、ドアがバタンと開いた音がしました。またか、と思いガバッと後部座席を振り返りました。
やはり誰の姿もありません。
ですが、その時、奇妙な光景に目がとまりました。
リヤウインドウ越しに歩道を歩く女性の背中が見えたのですが、その女性は裸足だったのです。髪もボサボサで服も泥で汚れていました。
じっと見ていると、その女性の姿がだんだんと半透明になっていきました。
目の錯覚かと思って、目をこすって再び見ると、女性の姿は消えていました。

ああ、と私は納得しました・・・実は、女性が歩いていった先には、あの有名な青山霊園があるのです。霊園の近くにタクシーを停めていたから、霊を乗せてしまったのかもしれない。そう思いました。それ以来、六本木トンネルの側道で休むことはやめています。

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