【怖い話】【心霊】長崎の怖い話 #191

 

これはほんとうにあった怖い話です。
大学の頃、友達と女子二人で長崎へ旅行に行ったときのことでした。
1日目の昼は教会を巡り、夜は稲佐山の夜景を堪能しました。
明日は食べ歩きしようと話しながら、ちゃんぽん専門店で遅い夕飯をとっていた時のことでした。
友達が突然、気分が悪いと言い、外の風に当たってくるとお店を出ていきました。
何か悪いものでも口にしたのかなと心配して待っていましたが、20分経っても一向に戻ってきません。
さすがにおかしいと思い、お店を出ると表に友達の姿はありませんでした。
付近を探しましたが、見つからず、携帯電話も繋がりません。
ホテルに一人で戻ってしまったのかと、ホテルに電話をしてみましたが、ホテルにも戻っていないといいます。
どうしよう。
パニックになりかけていました。
あまりに私の様子がおかしかったのか、通りがかったおばあさんが話しかけてくれました。
事情を話すとおばあさんは言いました。
「平和公園に行ってみなさい。きっと見つかるから」
それだけ言うと、おばあさんは去ってしまいました。
訳がわかりませんでしたが、藁にもすがる思いで、タクシーに乗り平和公園に向かいました。
長崎のガイドブックを読んでいたので、どういう場所かはわかっていました。
原爆死没者を追悼し平和を願って作られた公園。
気軽な旅行だったので、観光コースからは外していました。
おばあさんの言うとおり、友達は平和公園にいました。
平和記念像近くのベンチに座っていました。
体調が悪いのかぐったりとした様子でした。
うう、うう、と嗚咽のような声が聞こえます。
「大丈夫?心配したんだよ。いきなりいなくなっちゃうから」
よく見ると友達は泣いていました。
とても苦しそうな様子で。
「み・・・ず・・・」
「水?」
私はバッグからミネラルウォーターを取りだし渡そうとしました。
その瞬間、友達が、私の腕をガシッとつかんできました。
ものすごい力でした。
「あつい!・・・あつい!」
友達が頭を振りながら叫びました。
まるで別人でした。
私は、怖くて、どうしたらいいのかわからなくて、ペットボトルの水を友達におもいきりかけました。
すると、それがよかったのか、友達は静かになりました。
「あれ、私・・・ここ、どこ?」
ハッと我に返ったように友達は言いました。
私は泣きながら友達を抱き寄せていました。

・・・友達は、ちゃんぽん専門店を出ると、何とも物悲しい気持ちになったそうです。
その気持ちは自分でも止められず、どんどん膨らんでいき、やがて涙が溢れてきたといいます。
そのまま、通りを歩いていき、気がついたら平和公園のベンチに座っていたそうです。
後から聞いた話では、感じやすい人が長崎に観光に行くと、稀に、原爆で亡くなった方の霊に憑依されてしまうことがあるのだそうです。
いまでも報われない戦没者の霊が、さ迷っているのだと思うと、私はなんともいえない複雑な気持ちになりました・・・。

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