【怖い話】【心霊】第176話「信号待ちの怖い話」

2017/10/06

 

その日は仕事が忙しく、帰りは終電になってしまった。
自宅までは駅から歩いて15分ほど。
駅前の繁華街も、この時間になるとひとけがほとんどなく寂しい感じだ。
僕は、眠気をこらえながら、ボーッと歩いていた。
前の横断歩道の緑信号が点滅していた。
急げば間に合いそうだったけれど疲れていて走る気にならなかった。
赤信号に変わった横断歩道の前で足を止めた。
ふと横断歩道の向かいを見ると、ランドセルを背負った女の子の姿があった。
こんな時間に小学生・・・?
変だなと思った矢先、女の子が赤信号の横断歩道に飛び出した。
交差点にトラックが猛スピードで進入してきていた。
止める間もない一瞬の出来事。
トラックが女の子の身体とぶつかった瞬間、奇妙な出来事が起きた。
女の子の身体が、霧のように消えたのだ。
トラックは何事もなかったかのように走り去っていった。
今のは一体なんだったのか。
心臓が激しく脈打っていた。
僕は慌てて同棲している彼女に電話をした。
寝ぼけた声が受話器から聞こえた。
「もしもし、どうしたの?」
「・・・ついに見た」
「何を?」
「幽霊」
「何いってるの?」
「本当なんだって!」
「・・・ちょっと待って。誰かと一緒?」
僕は周りを見渡した。誰もいない。
「誰も一緒じゃない。なんで?」
「今声が聞こえた気がして」
「怖いこというなよ」
「あ、ちょっと待って、やっぱり聞こえた・・・『お兄ちゃんも連れてっていい?』って」

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