【怖い話】【怪談】第172話「山歩きの怖い話」

2017/09/11

 

山で山菜採りをしていると、獣のような唸り声が聞こえた。
クマの目撃情報もある山なので、私は用心して下山しようと思った。
すると、子供の泣き声のような音が聞こえた。
まさか、子供がクマに襲われているのか。
私は慌てて声が聞こえた方へ、薮をかき分けて走った。
・・・現場に到着し、目を疑うような光景を目撃した。
血まみれで倒れている大人の男性。
その傍に5歳くらいの女の子が俯いて座り込んでいた。
男性の身体には、大きな爪で切り裂かれたような傷や咬み傷が見えた。
傷口からして、凶暴なクマにやられたに違いないと思った。
幸い女の子は無事だった。
まだ近くに男性を襲ったクマがいるかもしれない。
私はひとまず女の子を避難させようと、抱きかかえて山を駆け降りた。
しばらく走ると登山道に出た。
いったん女の子を降ろして、怪我がないか確認しようと思った。
「大丈夫?」
そう私が尋ねると、女の子がニコッと笑った。
女の子の歯が血で真っ赤に染まっていた・・・。

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