【怖い話】【心霊】第170話「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ」

2017/07/01

 

私は、公園のベンチに座って読みかけの小説を読んでいた。
幼稚園くらいの赤いワンピースを着た女の子が一人で遊んでいるのが見えた。公園には私と女の子の二人だけだった。
女の子は、ケンケンパをするようにリズムよく飛び跳ねながら、歌を口ずさんでいた。
「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ・・・」
童謡のようだが、聞いたことがない歌詞とメロディーだった。今流行りの歌なのだろうか。
本に視線を戻す。女の子の歌は続いていた。
「いつつ、むっつ、ななつ」
そこで突然、歌は途切れた。
視線を上げると、女の子が近くに立っていて公園の街路樹を見上げていた。
「やっつ!!」
「・・・何を数えているの?」
「死んだ人!」
そう言うと、女の子はキャハハハハと高い笑い声を上げながら駆けていった。
見回すと気がつかないうちに公園に人が増えていた。私以外に全部で8人。
8人・・・やっつ・・・死んだ人・・・。
女の子の言葉がグルグルと頭を回る。

「ここのつ!!」
女の子が目の前に立って私を指差していた。

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