【怖い話】【心霊】第160話「苦情」

2017/10/16

 

ある日、マンションの隣の部屋に住んでいる女性が苦情を言いに来た。
女の人の笑い声がうるさいという。
わけがわからなかった。
俺は1人暮らしだし、彼女もいない。
俺の部屋から、女性の笑い声などするわけがないのだ。
「たぶん勘違いだと思いますよ」
俺の説明に納得していないようだったが、その日は帰ってくれた。
けど、数日後。再び隣の部屋の女性が苦情に来た。
やはり、俺の部屋から女性の笑い声が一晩中聞こえるのだという。
何かの間違いにしろ、怖かった。
今回もなんとか引き取ってもらったけど、隣室の女性はかなり怒っているようだった。
埒があかないと思って、管理会社に電話を入れることにした。
すると、担当の人が電話越しに怪訝そうに言った。
「・・・隣の部屋の人から苦情が来たんですよね?」
「そうです」
「間違いないですか?」
「間違いありません」
「おかしいですね。両隣の部屋は空き部屋なんですけど」
一層わけがわからなくなった。
両隣が空き部屋なのだとしたら、苦情を言いに来たあの女性は何者なのか。
翌日、またインターフォンが鳴った。
モニターを確認すると、隣の部屋に住んでいると言っていた例の女性だった。
俺は無視することに決め込んだ。
ピンポン!ピンポン!ピンポン!
何度もインターフォンが鳴った。
いずれは諦めるだろうと思って、俺は布団をかぶって居留守を決め込んだ。
一見、普通の女の人に見えたが、少しおかしい人なのだろう。
ピンポン、ピンポン・・・・。
10何回目かでようやくインターフォンが鳴り止んだ。
・・・よかった。
俺は布団から抜け出した。
すると、目の前に女性の足があった。
「 ・・・いるじゃない」
そう聞こえた後の記憶はない・・・。

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