【怖い話】第150話「出会い系の怖い話」

 

彼氏との別れを引きずっていた私に、友達がとある出会い系サイトをすすめてきた。
危ないやつじゃないからと友達が言うので、とりあえず登録をすると、すぐに男の人からメールが来た。彼は「カズ」という名前で、年齢は1コ上の大学生。
しばらくLINEでのやり取りだけを続けた。
正直、会うのには抵抗があった。出会い系サイト自体をあまり信用できなかった。カズ君が会いたいとメッセージを送ってきても、それとなくはぐらかした。少し後ろめたかった。カズ君は、私が会うのを拒否しているのに気づいているだろうに、何も気づいていないかのように、連絡をくれた。
今日あった出来事や、人から聞いたおもしろい話を教えてくれた。
いつの間にか、彼とのやり取りが楽しくなっている自分に気づいた。
「会おっか」
知り合ってから3ヵ月目、私から誘ってみた。
彼は二つ返事でオッケーしてくれた。
待ち合わせ場所は新宿駅の改札前。
時間が近くなると、ドキドキしてきた。
一体どんな人なんだろう。
LINEが来た。
「着いたよ」
周りを見ると、ちょうど携帯を触っている同年代の男の人がいた。
Tシャツにジーパンのラフな格好。肩幅が広くて、肌は日に焼けていた。
顔は想像と違ったけど、悪くない。
「カズ君、ですか?」
カズ君はコクッとうなずいた。
「行こ」
カズ君は私の手を取って進んでいく。
駅の駐車場に車を停めているという。
人生初のドライブデートだ。
流れゆく都心の光景がすべて新鮮だった。
一歳違うだけで、元カレがとても子供っぽく見えた。
出会い系なんて、と初めは思っていたけど、いい出会いもあるんだなと思い直していた。
その時、新しいLINEが届いた。
頭が混乱した。
メッセージはカズ君からだった。
「どこ~?」
・・・今隣で運転しているカズ君は何者なのか。ふと横顔を見ると、カズ君と思っていた人がニヤリと笑った気がした。

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