【怖い話】【心霊】第146話「イマジナリー・フレンド」

 

私の一人娘は少し変わった子で、小さい頃からよく、空想の男友達と遊んでいました。
娘はその男の子のことを「タツヒコ君」と呼んでいました。
一人でお人形遊びしながら誰もいない空間に向かって「タツヒコ君」と呼びかけているのを目撃した時は、とても驚きました。
小さい頃には、空想の友達を作ることはまれにあると病院の先生に聞いたので、しばらく放っておきましたが、幼稚園に上がっても「タツヒコ君」は一向に消えませんでした。
幼稚園の友達と遊ぶよりも「タツヒコ君」と遊ぶ方がいいと娘が言うのを聞いて、これは真剣に対策をしなければと思いました。
「タツヒコ君」なんていないのよと言い聞かせ、外に連れ出して色々な同世代の子と触れあうようにさせました。
初めは娘もとまどっていましたが、小学校に上がったくらいから、自然と「タツヒコ君」の話題は出なくなりました。
そんなこともあった娘ですが、先日26歳の誕生日を迎えました。お祝いの電話をすると、大切な人ができたと報告がありました。ついにこの時が来たかと感慨深い思いでした。
「なんて方なの?」
「お母さん覚えてるかな?小さい頃、よく遊んでた、タツヒコ君」

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