【怖い話】【心霊】第144話「歌舞伎町のスナック」

昔、歌舞伎町にE(仮名)というスナックがあった。
店の雰囲気もよく、接客も丁寧だったので、人気があった。
けど、ひとつだけ問題があった。お客の中に体調不良を訴える人が続出したのだ。
提供している酒や料理に問題があるわけではなかった。オーナー自ら鮮度や仕入れ先に気を配っていたので間違いはなかった。
理由もなくお客が不調になる。ひどい時には救急車を呼ぶ騒ぎになることもあった。
原因が一向にわからないのでオーナーは頭を悩ませた。
何か心霊的な原因なのではないか。オーナーはやがてそんなことを思うようになった。
霊能力者を呼んでお祓いをしてもらい、効果があると言われた御札や置物を買ったりした。
それでも、体調不良を訴える客は減らなかった。
やがて、あの店はおかしいという噂が広がり始め、順調だったお店の経営は傾き、あっという間にお店はつぶれてしまった。
オーナーは、不可解な現象のせいで店を畳むことになって悔しいと涙をこぼしていた。

数週間後には、空いたテナントに新しいお店が入った。歓楽街の移り変わりの早さには驚くしかない。

しばらくして。
全て仕組まれていたらしい、そんな風の噂が立った。
スナックEを邪魔に思ったライバル店が、息のかかったホステスを送り込み、客の飲み物に微量の毒を入れていた。そのせいで、体調不良を訴える人が続出したのだという。
本当かどうかはわからない・・・。
それが本当だとしたら、Eのオーナーは、さぞ悔しいと思うことだろう。

-ショートホラー