【怖い話】【心霊】第140話「ハイキングの怖い話」

先日のお休みに主人とハイキングに行きました。二人とも還暦をすぎて足腰が弱ってきたこともあり運動をしようという話になったのです。
私達が行ったのは標高1000メートルもない低い山で、片道1時間程度で上れるハイキングコースです。
当日は快晴で、風が気持ちよく、野花を観察しながらゆっくり登っていきました。
あまり有名ではない地元のハイキングコースですので、人はほとんどおりませんでした。
山頂まで、ちょうど半分くらいの地点に、少し開けた休憩所がありベンチがいくつかそなえつけられていました。
私と主人以外に若いカップルがいました。カップルはベンチに座り、黙って景色を見ていました。
飲み物休憩を終えると、再び登りだし、お昼頃に山頂につきました。景色を楽しみ記念写真を撮影した後でくだり始めました。登りは大変ですが下りはあっという間です。
休憩所が見えてきました。
「さっ機のカップルまだいるかしら」
私はなんとはなしに言いました。
「もういないだろ」
しかし、いたのです。行きの時と同じベンチに座って、相変わらず二人とも黙ったままでした。
喧嘩でもしているのかしら?
不思議に思っていると、主人が突然ベンチから立ち上がりました。
「おい、もう行こう」
「え?でも、飲み物飲まなくていいの?」
「いいから」
温厚な主人には珍しく強い口調でした。
再び下り始めました。
主人は歩くペースを上げズンズンくだっていきます。
「どうしたの?」
私が呼び掛けると主人は立ち止まり振り返りました。
「気づかなかったのか?さっきのカップル、身体が透けてた・・・」
カップルの身体越しに風景が透けて見えたと主人は言うのです。
あの山で心中したカップルがさ迷い出たのでしょうか・・・。

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