第99話「お化け屋敷」

これは僕が小学校5年生の時の出来事です。

両親の念願だった、新興住宅地の一軒家に引っ越して3ヶ月。ようやく新しい学校にも慣れて、遊ぶ友達もできた時でした。

ある日、クラスメイトのD君が学校帰りに「近所のお化け屋敷に寄って行こう」と言いました。僕は、幽霊とか怖い話が大の苦手だったので、正直行きたくなかったのですが、友達付き合いを断ることができず、クラスメイト4人と一緒に肝試しに行くことになってしまいました。
場所を知っているD君を先頭に、僕たち5人はぞろぞろと夕暮れの街を歩いていきました。

「ここだよ」
15分ほど歩くとD君が足を止め、一軒の家を指さしました。
「かなり前から地元では有名な心霊スポットなんだ」
僕は、目を疑いました。その家は、僕が引っ越してきた家だったのです。まだ誰も家に呼んだことはなかったので、みんな僕の家だとは知らなかったのです。
両親は、中古でいい家が見つかったと言って喜んでいたのに、まさかその家が心霊スポットだったなんて、信じられない思いでした。それに、住み始めてから3ヶ月、何もおかしな出来事は起きていませんでした。
D君が適当な作り話をしているのではないか、だんだんと、そう思えてきました。
「この家がどうして心霊スポットなの?」
僕は、D君に尋ねました。
「この家に住んでいる人達は、みんな幽霊が出るっていって引っ越していくんだよ」
「そんな、まさか!」
「君の家族は、あとどれくらい持つかな・・・」
そう言うとD君は、不気味な笑みを浮かべました。
僕はハッとしました。
見ると他のクラスメイト達もみな一様にD君と同じようなのっぺりとした笑みを浮かべていました。みんな初めから僕の家だと知っていたのです。
僕は、クラスメイト達の陰湿さとその表情が気味悪くなって、その場から、逃げるように家に入りました。

その数か月後、結局、僕たち一家は再び別の町へ引っ越すことになりました。
そうなった理由については、また今度お話しする機会があればしたいと思います・・・。

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