第89話「クリスマスプレゼント」

2017/12/05

これはMさんが小学校5年生のクリスマスに体験した怖い話。

小学校も高学年になるとサンタクロースの正体に気づきますよね。
Mさんも、そうでした。4年生の時のクリスマスに、サンタクロースの正体がお父さんとお母さんだと気づいてしまったそうです。だから、「今年はお正月に家族旅行に行くからサンタさんは来ないわよ」とお母さんに言われ、クリスマスプレゼントはないと覚悟していたそうです。

ところが、25日の朝、目を覚ましてみると枕元にリボンで飾られていた箱が置いてあったので、Mさんはびっくりしました。
「あんなこと言っていたけど用意してくれたんだと嬉しくなりましたね」と当時を思い出してMさんは言っていました。

それから、Mさんは、ありがとうを言いに、箱を持って1階のお母さんのもとへ降りて行ったそうです。
ところが、お母さんに箱を見せてもキョトンとしています。
「どうしたの、それ?」
だったらお父さんが一人で用意してくれたのかな?
あくびをしながら起きてきたお父さんに尋ねてみましたが、お父さんも自分じゃないといいます。
もしかしたら本当にサンタクロースはいるのかもしれないと興奮するMさんに対して、両親は「なんだか気味が悪い」と心配そうに見えたそうです。

とりあえずプレゼントの箱を開けてみようということになり、Mさんはリボンをほどいて箱を開けました・・・。

「でも、その後のことは何も覚えていないんですよね・・・」
Mさんは、私に、そう語りました。
Mさんが次に覚えているのは、救急車に運ばれて行く両親の姿だそうです。
Mさん一家は、お正月の家族旅行で交通事故に遭い、ご両親は帰らぬ人となりました。
「アレは、開けてはいけない箱だったんじゃないでしょうか・・・」
Mさんは今でもそう思っているそうです。

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