第33話「TEL」

2016/09/01

これは、僕の男友達が体験した怖い話です。

ある時、その友達と何人かで心霊スポットに行ったんですって。
湖の近くにあるレストランで今は廃墟なんですけど、有名になっちゃったもんだから、落書きなんかがいっぱいあったらしいです。
特に怪現象は起きなくて「残念だね」なんて言いながら帰ろうとした時、一人が「流し場に電話番号がある」って言い出した。
その電話番号は、ステンレスのシンクに尖ったもので傷をつけて書かれていたそうです。
サービスエリアのトイレなんかに人の電話番号を勝手に落書きしていく輩がいたりしますよね、あんな感じです。
誰かがノリで、僕の男友達のスマホを使って、その電話番号にかけたらしいんです。
そうしたら、繋がった。
「もしもし」って言っても返事がない。
サーっていう機械音だけがする。
何度問いかけても応答がない。
痺れを切らして通話終了ボタンを押そうと思った時、電話の向こうから女の人の声がしたそうです。
「・・・やっとかけてくれたね」
怖くなって、慌てて電話を切って、みんなで逃げるようにレストランを出たそうです。

だけど、話をそれで終わりじゃないんです。
それからというもの、僕の男友達のスマホに電話がかかってくるようになったらしいんですよ。
その電話番号から。毎日のように。
友達はすぐに着信拒否にしたそうです。
で、その話を聞いて僕も、行ってみたんです。その心霊スポットに。怖いから日が出ているうちですけど。
でも、いくら探してもそんな電話番号どこにもなかったんです。あったはずのものが消えちゃったんですよ。
そのことを友達に伝えると、さらに怖がっちゃって、友達はスマホを機種変更して電話番号も変えることにしました。

だけど、新しい電話番号にした途端、またあの番号から着信がくるようになったらしいです。
その番号、僕も聞いて知ってるんですけど、言わない方がいいですよね。

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